研究実績の概要 |
19世紀におけるイギリスの海外進出、とりわけ東南アジアとの関わりについての基礎的な文献(Lieberman, Strange Parallels Southeast Asia in Global Context, c.800-1830, McCusker and Soares eds, Islanded Identities: Constructions of Postcolonial Cultural Insularity等)を調査・収集した。 第92回日本英文学会のシンポジウム「The isle is full of noises――近世イングランド文学とユートピア的「島」幻想」では研究発表「The Tempestと17世紀における〈島〉の変容」を行い、シェイクスピアの『テンペスト』の変遷を辿ることで、19世紀以前のイギリスの島についての表象を歴史的に概観した。 また、スコットランドとイングランドとの同君連合によって成立した連合王国という概念を、シェイクスピア『マクベス』から読み、「「母とは呼べない、もはや墓場だ」―『マクベス』と死せるスコットランド」として論文にまとめた。 これらの研究によって、19世紀にイギリスの海外進出という枠組みの中で、スコットランドがそれと足並みを揃える形で帝国のエージェントとしての役割を担っていたことを確認することができた。同時に、17世紀にイングランドと連合したスコットランドが、19世紀までいかにイングランドとの対比によって内からのナショナル・アイデンティティを形成してきたのかを概観した。
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