研究実績の概要 |
限られた研究環境の中ではあったが、学生のアフリカ系文化への関心の高まりから、学生とともに多くを学んだ。 カナダ・ノバスコシア州のアフロメティ(Afrometis、アフリカ系と先住民のミックス)およびアフロメティ・ネイションの研究の基礎的情報の取得につとめた。その足掛かりとして、ノヴァスコシアの想像上のアフリカ系コミュニティ、アフリケーディアの歴史を知るために、学生とともにアメリカ独立戦争後同地域に移住した黒人少女を主人公に据えたリン・コジツキー(Lynn Kositsky)著の児童文学『レイチェル』(Rachel,Penguin,2001)を学生と輪読するとともに、9月には18世紀には北米最大の黒人コミュニティであったノヴァスコシア州シェルバーンのブラック・ロイヤリスト・ミュージアム、および黒人コミュニティが存在したウェイマス・フォールズを訪問し、知見を深めた。 後期前半は前期に得たアフリケーディアやアフロメティ・ネイションに関する基礎知識を深めるために、その言葉、概念の生みの親ジョージ・エリオット・クラーク(George Elliott Clarke)が、ウェイマス・フォールズをモデルに描いた韻文小説『ワイラー・フォールズ』(Whylah Falls,Gaspereau,1990)を精読した。特に第一章については学生と輪読した。2月以降は研究をアフリケーディアからアフロメティ・ネイションへと広げていくために、同州のアフリカ系住民と先住民ミクマク双方に対する環境レイシズムをとりあげたイングリッド・ウォルドロン(Ingrid Waldron)の研究書『そこにある環境レイシズム』(There's Something in the Water,Fernwood,2018)およびその映画版(2019)を研究し、岸野英美との共著論文(2021年夏出版予定)にまとめた。
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