研究実績の概要 |
本研究の最終年度にあたる2023年度の研究実績は、以下の3点である。(1)本研究の総括のために必要な科学・教育関係の図書や論文などの資料を国内外で収集し、それらを分析・解読するとともに、データーベース化して、研究作業を容易にした。(2)サブテーマ(C)「性教育の隠された展開の考察」に関して、特にエラズマス・ダーウィンの『植物園』を女性作家たちの反応と比較しながら考察し、植物学が果たした性教育のありかたを探った。この成果に関しては、日本ジョンソン協会第56回大会(2024年7月13日)シンポジウム「18世紀の性と身体の諸相」で口頭発表することが確定している。(3)本年度の研究成果としては、共著『論点・ジェンダー史学』(ミネルヴァ書房、 2023)中の「ロマンティック・フレンドシップ」で、18世紀の女性同性愛について論じ、『ヴィクトリア朝文化研究』第21号(2023)所収のSimon Joyce, LGBT Victoriansの書評で、19世紀のセクシュアリティを扱った。『ヴィクトリア朝文化研究』同号では、論文「文学における親子離隔の表象」も公表した。その他、第6回イギリス女性ライティング研究会では、コメンテーターとして、「女性と教育―ハンナ・モア『現代的体制の女性教育批判』を、イギリス女性史研究会第40回研究会シンポジウム「近代イギリスにおける性教育と女性」では、「生殖と自慰をめぐる性教育―ウルストンクラフトと(似非)科学的言説」を、それぞれ口頭発表した。
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