研究課題/領域番号 |
20K00440
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高野 泰志 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (50347192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 侵略文学 / SF映画 / アメリカ文学 |
研究実績の概要 |
本研究課題は19世紀末から20世紀にかけてアメリカで無数に作られた侵略ナラティブを研究し、それらのナラティブが現代アメリカ主流文学に与えた影響を探る試みである。3年目にあたる2022年度も前年に引き続き、コロナ禍のためにアメリカの国立公文書館などでの資料収集、調査が難しく、研究を進めるのがままならなかった。国内で入手可能な文献の収集や隣接研究領域の研究者との意見交換以外にできることが少なく、本研究の主要な目的であるアメリカでの資料収集が難しいことから、研究期間を一年延長し、2023年度に主要な研究を継続することにした。 国内での研究でもっとも成果が見込まれる主流文学での研究を続けることによって、2022年度には以下の研究成果の公表を行った。まず5月には日本英文学会全国大会の「アメリカ文学と植物表象」と題されたシンポジウムにおいて、「イーディス・ウォートンの植物的想像力」という研究発表をおこなった。 また12月には日本ヘミングウェイ協会全国大会において、柳沢秀郎氏の「『黄金の腕』に記されたヘミングウェイの二つの詩 ―『河を渡って木立の中へ』の創作をめぐって」という研究発表の司会を担当したが、この発表は本研究課題との関連性が深く、柳沢氏との交流が課題推進に大きく役立った。 海外渡航はできなかったが、そのためにかえって国内で落ち着いて資料収集をすることができたため、2023年度での成果公表に向けて十分な準備を行うことができた。上記のように、現状で可能な範囲内での研究成果としては大きな成果を上げることができたのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のために、本研究課題の最も大きな研究内容であるアメリカ渡航と現地調査が事実上不可能であることが主要な原因である。しかし、日本国内で可能な 限りでの調査は継続しており、上記のようにそのような状況の中では順調に研究結果の公表及びその準備を行うことができている。2023年度にはコロナ禍の状況も落ち着くことが見込まれ、これまで国内で準備してきた資料を基に、これまでの遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカに渡航し、現地での資料収集と現地研究者との交流を本格的にスタートする。またこれまで準備してきた資料や研究活動の集大成として、イーディス・ウォートンやジャック・ロンドンなどの主流文学と侵略文学ナラティブとの関連性に関して、2023年度中に学会発表の形で本研究課題のまとめとなる成果を公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために海外渡航ができなかったため。次年度に旅費に含めて使用予定。
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