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2022 年度 実施状況報告書

英雄像の創造と受容ーロジャー・ケイスメントをめぐるテクスト研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00443
研究機関東京都立大学

研究代表者

中村 麻衣子  東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (50780615)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード英文学 / アイルランド文学 / ナショナリズム / セクシュアリティ / クィア
研究実績の概要

本研究の目的はアイルランド出身の活動家で現在では建国の英雄のひとりと目されるロジャー・ケイスメントが、(1)いかにそのイメージを確立し、現代まで受容 されてきたのかを一次資料分析を通じて明らかにすることと、(2)未だに大きな存在としてアイルランドのみならず、さまざまな世界の文学作品などに再生産され続けているのはなぜなのかという問いを考察すること。そして単なるナショナリズムの英雄としてのヒロイズム礼賛にとどまらないケイスメントの人物造形を明らかにし、偉人のイメージ創造のあり方を発展的に検証することである。
令和4年度は引き続き新型コロナウィルス感染拡大に伴い日本からの出国が困難であったため、(1)の研究の根幹であるイギリス、アイルランドでの一次資料収集と調査が実質的に不可能であった。そのため昨年度から中心的に行ってきた(2)の基盤となるケイスメントをテーマ、もしくはモチーフとした作品分析をこれまでに続き実施した。これまで考察してきた、イギリスやアイルランド文学におけるケイスメント表象に加え、マリオ・バルガス=リョサによる『ケルト人の夢』で描かれた彼のイメージを比較し分析することで、現代的かつ比較文学的な視座からケイスメントをの位置付けを試みることができた。さらに同時代の詩人でケイスメントの友人でもあったエヴァ・ゴア=ブースによる定期刊行物『ユーレイニア』の研究を行ったが、ここにはケイスメントの日記と重なり合う点を読み解くことができた。引き続き同時代のクィア表象との連続性を検証したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウィルス感染拡大によりイギリスやアイルランドの図書館やアーカイブでの調査が行えず、予定の変更を余儀なくされたことにより遅れが生じている。また令和4年度は学内要職にあったため、予定していたエフォートを本研究に割くことが困難であった。とはいえ予期していなかった『ユーレイニア』とケイスメントの連続性についての発見などもあり、一定の成果を得られたといえる。

今後の研究の推進方策

現地での資料調査ができないままで一時資料分析という点に関しては大幅に遅れてしまっているため、研究計画の予定通りにはいかないかもしれないが、これまでの行ってきた文学作品についての研究をまとめるのと共に、『ユーレイニア』に関する資料分析を深め、クィア文学や表象とケイスメントのイメージ形成の関連性についてさらに検証したい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は海外への出張や現地調査が実施できなくなったことによる。調査計画を組み直し、イギリス、アイルランドへ現地調査を実施する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] クィアZINEのパイオニア:『ユーレイニア』におけるジェンダー、セクシュアリティとアジア観2022

    • 著者名/発表者名
      中村 麻衣子
    • 学会等名
      カルチュラル・タイフーン2022
  • [学会発表] <悲劇の英雄>を乗り越えて-ロジャー・ケイスメント像の変遷-2022

    • 著者名/発表者名
      中村 麻衣子
    • 学会等名
      日本比較文学会 第60回東京支部大会

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公開日: 2023-12-25  

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