研究課題/領域番号 |
20K00444
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
齊藤 みどり 都留文科大学, 文学部, 准教授 (30759858)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人種 / カリブ文学 / ポストコロニアル文学 / 人種差別 / ジェンダー / 英語圏文学 / 比較文学 / 英国の移民文学 |
研究実績の概要 |
研究初年度にあたる2020年度は、カリブ文学における人種の表象と理論の分析を行い、アンドレア・レヴィの作品の分析を行った。 まずアンドレア・レヴィやゼイディ・スミスと同時代の作家であるキャリル・フィリップス の作品と彼のエッセイから、カリブ文学における特異な人種観を調査した。特に、フィリップスがジーン ・リースの伝記として記した、A View of the Empire at Sunset (2018)の考察を通して。肌の色の違いにも関わらず、フィリップスがリースに共感を示し、作品を通して彼女を理解しようとした試みについて論じた。以上の研究の成果を、On Caryl Phillips’ A View of the Empire at Sunset (2018)としてまとめて、2020年10月の『都留文科大学研究紀要』第92号 33-43(総10頁)に掲載した。 さらに初年時はアンドレア・レヴィの作品の分析を行った。 アンドレア・レヴィの両親はジャマイカから英国に渡った移民だが、彼女自身も肌の色の白さから、自分を黒人とは考えていなかった。彼女が作品で、どのようにブラック・ブリテッシュというアイデンティティーと対峙したかについて考察した。以上の研究の成果を、2020年11月8日に開催された国際学会、 Narratives of Displacement International Conference(Zoom開催)で、Reading Andrea Levy’s Never Far from Nowhere (1996) and Back to My Own Country (2014)としてまとめて発表した。発表の結果は論文Race and Class in Andrea Levy’s Never Far from Nowhereとしてまとめ、『多民族研究』に応募し、掲載を承認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、コロナ対応のために大学の業務が大幅に増加し、研究時間が思うようには取れなかった。また、コロナのために国際学会なども中止になったものもあり、予定していた発表のひとつができなかった。また、国外での資料調査も実施することが不可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の予定であるが、2020年度にまとめきれなかったアンドレア・レヴィ作品の考察を進め、その結果を、2020年はキャンセルされたが2021年はzoomで開催される国際学会で発表する予定である。さらに、ゼイディ・スミスの作品の分析に着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのために計画していた海外への資料調査ができなかったため、旅費を使用しなかった。資料収集に重きを置き、学生アルバイトを雇用し、インターネット上での資料収集をし、整理をした。今後も海外での資料調査が不可能であることが予想されるため、引き続き学生アルバイトを雇用し、インターネット上での資料調査を行いたい。また、そのために必要な機材の購入も考えている。
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