現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により渡航調査が難しい状況下であったものの、予定していた2回の海外渡航のうち1回(2021年夏)は実現し、大英図書館(イギリス・ロンドン)にて一次資料の調査研究を実施することができた。研究初年度に収集予定であった定期刊行物の匿名と非匿名作品の比較検証を集中的に行う一方で、匿名性を利用しないで署名式で原稿を執筆した稀有な存在であるEmilia Francis Dilke (1840-1904) の活動を彼女の書簡(Dilke Papers, BL Add. MS. 43875, 43903-43908, 43946, 49446, 49454, 49455, 49611)および関連資料から読み解いた。また、大会が1年延期となっていた第24回日本ジョージ・エリオット協会全国大会シンポジウム(2021年12月11日)では、これまでの成果発表として、女性小説家と匿名性の関係性を明らかにし、匿名性を一つの作家戦略として捉えた。George Henry Lewesの女性文学論を切り口に、Jane AustenとGeorge Eliotを比較対照し、語り手の視点が如何に流動的で、意図的に曖昧で複眼的なものになっているかを提示した。なお、2022年度は、これまでの成果発表の論文執筆や海外への研究成果の発信を含め、当初の計画通り、遂行する予定である。
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