研究課題/領域番号 |
20K00453
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
橋本 健広 中央大学, 国際情報学部, 教授 (70566546)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 影響 / 類似性 / 多文化共生 / イギリス・ロマン派 / 東洋趣味 / テクスト分析 / デジタル・ヒューマニティーズ / DH |
研究実績の概要 |
本研究は、データ可視化あるいは語彙の出現頻度といった量的分析を用いて、19世紀イギリス詩・演劇作品にみられる他の時代・文化圏に属する作品の取り入れを、詩の持続可能性と多文化共生という観点から考察し、フランス革命やグローバル化といった変容する時代に特有と思われる文学的傾向を模索するものである。 2020年度は詩の持続可能性の研究を行い、2021年度は多文化共生の観点からペルシア文学のイギリス・ロマン派詩人の詩への影響を考察した。2022年度は、三年間の研究の総括を行い、多文化共生の影響の考察をまとめてイギリス・ロマン派学会で発表し、論文を一件執筆した。また海外の学術誌への投稿を準備しているところである。 多文化共生の影響の考察は、具体的には、バイロンが多大な影響を受けたウィリアム・ベックフォードの『ヴァセック』にみられる東洋趣味の語彙を、バイロンの全作品にみられる分布を通して、東洋趣味の広がりを俯瞰する研究を行った。バイロンの全作品における東洋趣味の広がりを確認するとともに、その特徴を抜き出し、質的読解へとつなげて、バイロンの東洋趣味に対する態度を確認した。同様に、『バハーリ・ダーニシュ』におけるペルシア語語句のトマス・ムアの全作品における広がりを俯瞰し影響を考察した。また、ワーズワスとコールリッジの劇作品の影響を論文にまとめるべく執筆中である。 現在の研究は、人文学研究における、質的データを量的データに転換する手法、および質的な分析に量的な分析を取り入れる手法の確立に意義がある。こうした新規の手法を通して、異なる角度から詩の研究を行うことで、詩の研究自体に新しい知見を示すものである。また本研究は、テキストどうしの影響あるいは類似性を調べる新しい試みとして広く他の同様の影響研究に適用できるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると評価できる。交付申請書における研究計画は、令和4(2022)年度は、三年間の研究の総括を行い、総括として、8月にイギリスで行われるコールリッジ学会で研究成果を発表し、また論文を執筆して海外の学術誌に投稿して、評価を得ることであった。三年間の研究の総括として、多文化共生の影響の考察を行い、ある程度の方法上の手続きと問題点を明確にすることができた。さらに、ある詩人の作品全体の影響の分布という観点から、文学研究にとってより本質的である、精読へと向かうテクストどうしの影響へと研究の範囲を進めることができた。これらの研究成果をもとに、海外の学術誌への投稿準備を進めているところである。論文執筆に当初の計画以上に時間がかかっているため、補助事業期間延長承認申請の手続きを行い、一年間の延長が認められた。またコロナ過により、海外学会での発表が難しかったため、旅費として申請した経費は書籍の購入に充てた。 本研究の目的は、量的分析により、19世紀イギリス・ロマン派という文学の一潮流を俯瞰して大局をつかむことであった。この点について、詩の持続可能性と多文化共生の観点から、過去からの影響と多文化からの影響の大局を俯瞰することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、2022年度に実現が難しく、補助事業期間延長の理由となった、海外学術誌への投稿が挙げられる。2023年度は、2022年度の発表をもとに、論文執筆および投稿に励みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に海外の学術誌への投稿を行う予定であったが、論文執筆に当初の計画以上に時間がかかっているため、補助事業期間延長承認申請の手続きを行い、次年度使用額が生じた。次年度使用額は論文執筆費用に充てる予定である。
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