本研究の目的は、19世紀イギリス・ロマン派という文学の一潮流を量的分析によって俯瞰して大局をつかむことであった。イギリス文学研究では、作品間の影響を調べることが一つの大きな研究テーマである。テクストや歴史的事実などの外部情報をもとに研究者の緻密な読みをもとに影響を考察する方法が一般的であるが、本研究ではデジタル・ヒューマニティーズの手法を用いて、量的な数字を用いて影響を考察した点が新しい。用語の出現頻度と分布を量的に計算することで、過去の17世紀の詩や多文化に属する東洋趣味の作品が19世紀の作品に伝播する様子を俯瞰することができ、質的分析へとつなげたことが本研究の学術的意義である。
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