研究課題/領域番号 |
20K00454
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
新井 景子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (20557194)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アメリカ文学 / アメリカンガール像 |
研究実績の概要 |
本年度の主な成果として次の3点がある。 ①Henry JamesのThe Bostoniansにおけるアメリカンガール像と女権運動の関係について考察した。本研究は報告者の以前からの研究を継続させたものであり、The Bostoniansで描かれる二人の女性人物(VerenaとOlive)をアメリカンガールとして読み、2人の物語が世紀転換期の若い女性をめぐる様々な揺らぎをいかに表しているかについて検討した。研究成果は、論文("The ‘vagueness of boundary’: Democracy and American Girlhood in The Bostonians")としてまとめ、発表した。 ②Edith Whartonが1900年代に出版したThe House of MirthとThe Fruit of the Treeについて、シスターフッドという観点から考察を行った。Whartonはフェミニズム批評において高く評価される一方、世紀転換期の女権運動からは距離を置き、19世紀の女性作家に連なることも拒んでいた。それに対し、本研究ではWharton作品の中でいかに女性同士のつながりが慣習的なジェンダー規範を揺るがしているかを検討すると共に、女性作家の伝統とされているセンチメンタリズムがどのように機能しているかについても考察した。研究の成果は来年度5月に行われる第66回九州アメリカ文学会大会シンポジウム「イーディス・ウォートン再読―生誕160年を控えて」で発表予定である。 ③Whartonが1910年代に出版したSummerについて、当時大衆的なイメージとして流布していたアメリカンガール像を参照しつつ、考察を行った。本研究については今後論文としてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響で海外での資料調査ができなかったが、WhartonおよびJamesについて一定の研究成果が出せた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も基本的に研究計画に沿って研究を進める予定である。Whartonについては、今年度は特に初期の小説を中心に扱ったため、来年度以降中期、後期の小説について考察を続けたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナにより、海外での資料調査が行えず、未使用額が生じた。次年度請求額と合わせ、2021年度以降の海外資料調査あるいは実施できない場合は資料購入費の一部として使用する計画である。
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