研究課題/領域番号 |
20K00460
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
高村 峰生 関西学院大学, 国際学部, 教授 (90634204)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マーガレット・アトウッド / ディストピア |
研究実績の概要 |
2021年度前半は、2020年度の表象文化論学会におけるフォーラムをもとにして、秦邦生編『ジョージ・オーウェル『一九八四年』を読む』水声社に、「ポスト・トゥルース時代のオーウェル――カクタニとローティによる読解」を執筆することが出来た。当論文では、2016年のアメリカ大統領選挙においてオーウェル再読の契機が高まったという社会的な現象を切り口にして、同時期に高まった「ポスト・トゥルース」をめぐる言説を通じて、オーウェルがどのように読まれているのかを、ミチコ・カクタニとリチャード・ローティの二者による読解を中心に検討したものである。 年度後半においては、同じく水声社から出版予定であるマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』と『誓願』についての共著論文執筆に向けて、とくにそのドラマ化作品である『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』を中心に調査・研究を行った。12月にはアメリカ文学会関西支部におけるフォーラムで司会と発表を担当し、その中で原作『侍女の物語』における触覚をめぐる表現に注目した発表を行った。その後、1月からはドラマ版の考察を行い、それを基にした論文を3月末までに仕上げた。 また、その他の業績としては昨年物故した瀬戸内寂聴についての論考を『ユリイカ』から求められ、執筆を行った。 全体として、オーウェルとアトウッドの作品を中心に、ディストピアの現在における表象のあり方について考察を深めることが出来、研究に大きな進展があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アトウッドについての共著を執筆依頼されたことにより、ディストピアの現在を探究する本研究に具体的な進展を画することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
来年度の夏に在外研究を予定しているが、そこまでに、これまで書き溜めたオーウェル、アトウッド、シンクレア・ルイスを中心に、現在の世界におけるディストピアについての単著の構想をより具体的に作っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、出張調査が行えなかったことにより旅費に大幅な余剰額が生じている。感染状況などを見つつ、2022年度中に資料調査や学会参加の可能性を模索したい。
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