研究課題/領域番号 |
20K00467
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 靖恵 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (90313725)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ラスキン / プルースト / 偶像崇拝 |
研究実績の概要 |
19世紀末の偶像崇拝の概念を明確にするため,プロテスタントの作家ジョン・ラスキンの言説を,彼の中世カトリック美術批評を中心に再検証し,同時代のフランスにおける受容を検証した。その成果の一部を反映するとともに,フランスの宗教美術論,自然観におけるラスキンの影響についての考察を集めた共著『フランスとラスキン --大聖堂からプルーストに至るまで(仮題)』の共編者として,イリノイ大学フランソワ・プル=とともに編集を進めた。この共同研究成果には本研究の礎となる貴重な見地があるので,作業とともに考察を深めた。 特にプルーストのラスキン受容については,鉱物と植物の描写,色彩論を中心に調査を進め,イギリスのAshmolean博物館,ランカスター大学のラスキンセンター所蔵のラスキンのデッサンの検証を進めた。また,『失われた時を求めて」初期草稿において直接あるいは間接的にラスキンに言及されると思われるテクストを集め,考察を進めた。 これまで写真撮影により集めたエミール・マールの草稿資料,特に中世宗教美術の動植物表象に関するメモの整理を行い,今後最終稿に至るまでの生成過程をたどる準備を行った。 最後に19世紀末からの政教分離と中等教育改革について,女子教育の作文練習を中心に調査を始めた。 この時代の脱カトリックと科学の発達における,自然観,生命倫理の変化をたどる上で,植物学や遺伝学の発展の影響についても関心の方向を向け,ゲノム研究の若手研究者の情報提供を受け,意見交換も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた海外調査ができなかったが,イギリスのラスキン関係の博物館や研究センター,およびフランス国立図書館から,図版や草稿資料をオンラインで取り寄せることにより,国内でできる限りの調査を進めることができた。エミール・マールについては,資料が電子化されていないため,これまで写真撮影したものの整理を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
ラスキンの宗教観と自然観,および,近代の「偶像崇拝」の概念を明らかにするために,渡航が可能になり次第,イギリスの各々の博物館と図書館での資料収集を行う。また,脱カトリック下の19世紀~第一次世界大戦のフランスの中等教育(特に文学)について,フランス古文書館,パリ各市役所の資料室,国立図書館等で調査をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため3回を予定していた海外調査出張,2回以上を計上していた国内出張が中止となり,資料調査のため購入予定であったデジタルカメラと機材購入を見合わせた。また特に春学期は,キャンパスが閉鎖されたため,資料整理補助のための大学院生雇用,および作業用のパソコン購入も今年は見合わせた。
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