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2021 年度 実施状況報告書

現代スペイン語小説における記憶の回復:スペインとチリとペルーの紛争後文学の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00470
研究機関大阪大学

研究代表者

松本 健二  大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (00283838)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードラテンアメリカ文学 / スペイン文学 / 記憶表象 / 紛争処理
研究実績の概要

今年度は予定していた資料調査ができなかったため、手元にある資料を基に、スペイン語小説における記憶表象という問題についてスペインとペルーとチリの三国を比較しながら大局的な枠組みを再考することを中心に研究を進めた。本研究が意図している各国の直近の紛争とはそれぞれスペイン内戦とその後の独裁、ペルーにおける暴力の時代、チリにおける軍事クーデターとその後の独裁を指しているが、各国の過去半世紀の小説を包括的に振り返った時に見えてくるのは、そうした直近の過去を表象する際の枠組み(=登場人物による主観的な語りが優先的に採用され、客観的な事実性が宙づりにされがち)に対し、スペインの場合であればすでに事実認定されている歴史的事象を背景にしたフィクション、ペルーの場合は植民地に由来する構造的搾取を背景としたフィクション、チリであればクーデターをめぐる映像等の事実性そのものをターゲットにしたフィクション等が同時に生産されていることが分かった。前者、すなわち紛争時に生じた歴史的事実ではなく、災厄に巻き込まれた当事者の主観性に依拠したフィクションのみを読んでいると見えてこない<記憶表象の生成メカニズム。を、後者のようないわゆる歴史小説や映像ドキュメンタリー等も見据えつつより総合的に捉えてゆく必要性が明らかになった。具体的には当初資料研究の対象には含めていなかった(スペイン)アルムデーナ・グランデスによる歴史小説群や(ペルー)暴力の時代をアンデス系の文化を通じて新たな角度から描いたエドガルド・リベラ・マルティネスや(チリ)パトリシオ・グスマンの映像等も分析対象にする必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

予定していた現地調査が実現できなかったこと、所属先(外国語学部)の担当科目が大幅に変更され授業準備に時間が割かれ、見込んでいたエフォート率が大幅に変わってしまったこと等。

今後の研究の推進方策

基本的に研究計画に則って進めるが、現地調査を資料研究に順次切り替え、また成果報告の機会をできるだけ多く設けるなど、研究の遅れを取り戻すよう適宜対応する。

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公開日: 2022-12-28  

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