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2022 年度 実施状況報告書

現代スペイン語小説における記憶の回復:スペインとチリとペルーの紛争後文学の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00470
研究機関大阪大学

研究代表者

松本 健二  大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (00283838)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードスペイン文学 / ラテンアメリカ文学 / 文学と記憶
研究実績の概要

今年度は対象テクストの収集に予算の大部分を費やし、当初研究計画で想定していた現地調査は行なえなかった。スペインに関しては内戦からポスト軍政期までの時代を題材とした文学テクストの代表として、19世紀の小説家ガルドスの『国民挿話』を模した全体小説構想であるアルムデーナ・グランデスの《無限戦争の挿話》を構成する長編小説5部作『イネスと喜び』、『ジュール・ヴェルヌの愛読者』、『マノリータの3度の婚礼』、『ガルシア医師の患者たち』、『フランケンシュタインの母』を選定し精読を始めているが、依然として論文作成には至っていない。グランデスはスペイン人の集合記憶をテーマにしたエッセイ集『消えない傷:スペインの問題と現在の再生』も遺していて、これは小説に現れる記憶をめぐるテーマが側面から分析されている重要な資料であり、上記5小説とあわせてスペインにおける文学と記憶をめぐるひとつの実践として考察した論考をまず作成する必要がある。チリとペルーに関しては(チリ)ポスト軍政期と(ペルー)内戦期をめぐって文学と記憶を関係させた先行研究の整理を主として行った。これに関してはジャネット・ラインスタッドラー『独裁の後で書く:ヨーロッパとイスパノアメリカのポスト軍政期における文学文化の生産』に代表されるように国の単位を越えた集団的取り組みが多く、論考の多くは特定の小説にフォーカスしたものであるが、軍政における暴力の記憶を扱った映画を対象にした研究も目立つことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

学内運営と教育業務負担が若干増加した関係で、当初予定していたほどの研究時間が割きにくくなったことに加え、スペインや南米における現地調査ができなかった。結果として成果を論文としてアウトプットすることができていないなど、研究計画から相当の遅れが生じている状況である。

今後の研究の推進方策

当初研究計画に従って研究を進めると同時に、これまで一度も実施できていない現地調査を2023年度に必ず実施し不足している情報を整理したうえで、年度末にはスペイン現代文学における独裁の記憶というテーマの論文を必ず作成する。学内運営と教育業務負担は軽減できないことが確実なので、別の形で研究時間を確保するよう工夫する。

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公開日: 2023-12-25  

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