十月革命―1920年代ロシア文化の研究は近年進展が著しいが、その多くは個別事例にとどまり、当時のロシアに生じた新たな人間観・世界観の全体像に迫っておらず、思想・文化史上の位置づけも充分ではない。本研究は、「人間と物との関係の再構築」という新たな視座を導入することによって、人間観と世界観を一体的に分析することができ、この時期のロシア文化を、20世紀初頭の全ヨーロッパ的な思想・文化史の文脈上で解釈しなおすこと可能にする。くわえて、この視座は、この時期のロシア文化・思想を、現代(21世紀)の最新哲学が直面する問題群と関連付けて論じ、それに今日的な視点から新たな思想的意義づけを与える可能性を開く。
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