研究課題/領域番号 |
20K00475
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
井上 暁子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (20599469)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トランジット性 / 移民 / 空間表象 / 流通 / 移動 / 国境地帯 / ミクロヒストリー / 想起 |
研究成果の概要 |
シレジアは中世以来、複数の異なる民族、文化、言語が共存し、もの、人、思想、イメージの行き交う空間であった。19世紀から20世紀の、移動の多様化、情報ネットワークの発達、大衆文化の普及を背景とする近代化は、ドイツ語ないしポーランド語によるシレジアの文学表象に影響を与えた。移民文学についての研究(2022)で、シレジアを含む境界領域の現実空間に残された人・場所・ものをめぐるミクロヒストリーが、トランジット性の痕跡を露呈していること、また、文学においてシレジアは多層的で錯綜した空間として表象されていることを示した。
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自由記述の分野 |
文学研究
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
単書『語りの断層――ドイツ=ポーランド国境地帯の文学』(2022)で、シレジア出身のドイツ語作家を含む移民による文学創作、および文化活動について論じた。彼らの故郷であるドイツ=ポーランド国境地帯は、多層的かつ錯綜したトランジット空間として表象されており、「血と大地」や社会主義リアリズムといったイデオロギーの影響下にあった伝統的なシレジア文学の、定住者中心主義とは異なる描かれ方をしている。移民文学は国別・言語別に研究されることが多く、本研究のように国境地帯の文学として論じた研究は世界的にもまれである。
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