研究課題/領域番号 |
20K00479
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
村田 真一 上智大学, 外国語学部, 教授 (00265555)
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研究分担者 |
野中 進 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (60301090)
安達 大輔 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (70751121)
越野 剛 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (90513242)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 芸術的媒介性 / 翻案 / 舞台芸術 / 文学 / メディア論 / スラブ域の比較文学・比較文化 |
研究実績の概要 |
前年度の役割分担を継続すべく、研究代表者は、スラブ域と日本の舞台芸術の研究推進、ならびに国内外でのセミナー・ワークショップなどの企画・開催を通し、研究活動全体を総括する役割を担った。ただ、当該年度は、コロナ感染がとくにスラブ諸国で猛威を奮い、加えて、ウクライナへのロシア軍侵攻により、関係諸国との連絡すら取りづらくなり、今年度の研究をまとめるうえで、多大な損失を被った。このような事情により、研究対象地域への渡航が叶わず、その結果、オンライン形式では効果の薄い舞台芸術実践をテーマとするセミナー・ワークショップの開催を22年度以降に延期せざるを得なかった。したがって、21年度は、このような企画に関しては、理論面の検討に絞り、研究代表者が主催する国内向けのシンポジウムと国際学会をそれぞれオンライン形式で実施したに止まった。 また、各研究分担者へは、引き続き個別研究の進展を図ってもらうべく要請したほか、研究代表者や出席予定の研究者と、22年度にイタリアの大学にて開催予定の国際セミナーへ向けて準備を進めている。 研究代表者の個別研究課題である演劇の視点から捉えた芸術的媒介性と翻案理論の確立については、ロシアのM.ツヴェターエワの詩劇4本とウクライナのL.ウクラインカの詩劇3本のテキスト分析をほぼ終え、それと並行して、ウクライナの演出家L.クルバスの演出理論を、ロシアのメイエルホリドのものとの詳細な比較において分析する作業に入った。セミナー・シンポジウムでは、研究発表のほかコメンテータや司会も行なった。 各研究分担者は、20世紀スラブ語圏の文学翻案、19・20世紀のロシア語圏の文学メディア、スラブ語圏の比較文学・芸術のジャンル横断性に関して、国際学会やセミナーに出席しながら、本研究の中間報告を首尾よくまとめ、その一端は論文などの研究業績に示されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大とウクライナ情勢の悪化により、主要研究対象地域であるスラブ域での学会組織やセミナー開催は叶わなかったが、引き続き、戯曲の分析を主軸とした理論面での個別研究が進んでいる。ただし、主要研究対象地域への渡航が不可能であるため、継続的な実践研究を行なううえで支障が生じている。このような外部的事情により、21年度の研究活動は、22年度の劇場視察やシンポジウム開催、海外研究者の招聘へ向けての準備期間となった。
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今後の研究の推進方策 |
21年度のそれぞれの個別研究と22年度のセミナー・シンポジウムの準備内容を十分活かし、本研究の実質的課題である「創造的展開」の遂行を図るため、研究分担者とともにスラブ域あるいはヨーロッパへ渡航し、実践研究の中核をなす、劇場視察・演劇関係者・研究者への取材を並行して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の拡大とウクライナ情勢の悪化の影響により、主要研究対象地域であるスラブ域での実践的研究に関するセミナー・シンポジウム開催や取材が年度内に実施不可能となったため、渡航費・現地での会議費等が未使用となった。次年度使用額は、渡航許可が下りた場合は当初の計画に基づいて消化することをめざす。
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