研究課題/領域番号 |
20K00485
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
寺尾 隆吉 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80434405)
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研究分担者 |
大西 亮 法政大学, 国際文化学部, 教授 (80328913)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルゼンチン文学 / 幻想文学 / 出版活動 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルスの影響により、ブエノスアイレスに赴いて現地調査を行うことができず、研究は予定より大幅に遅れているが、スペイン語圏の書店と取引のある日本の書店や、アルゼンチン人留学生の協力を得て、資料の収集に努めるとともに、対象となる十の文学作品について、徹底した書誌情報の調査を実施した。助手のサポートを受けながら、現在出版情報をまとめたデータベースを準備している。 対象作品の一つであるシルビナ・オカンポの短編集『招かれた女たち』については、全作品を日本語訳し、オカンポのもう一つの重要な短編集『復讐の女』の全作品の日本語訳とともに、幻戯書房より『復讐の女/招かれた女たち』として2021年12月に刊行した。本書には、オカンポの生涯を詳細に記述した「シルビナ・オカンポ〔1903-93〕年譜」を収録するとともに、「訳者解題」において、本研究の対象となる二人の作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスとアドルフォ・ビオイ・カサーレスとの関係、20世紀アルゼンチンにおける出版業のあり方、オカンポと出版社の関係などを詳しく分析した。同じ2021年12月には、インスティトゥト・セルバンテス東京にて、作家の保坂和志氏、研究分担者の大西亮氏とともに、オカンポ邦訳刊行記念イベント「アルゼンチン幻想文学の不思議な二人三脚」に登壇し、オカンポとビオイの作品について討論を交わした。イベントの後に、作家と出版社の関係について保坂氏から貴重な体験談をうかがうこともでき、アルゼンチンにおける作家と出版社を関係を検討するうえで、重要な視座を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響でブエノスアイレスで現地調査を行うことができず、出版活動の内幕について情報が得られていない。日本にいては入手できない書籍、資料が多く、思うように出版社と作家の関係が分析できていない。
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今後の研究の推進方策 |
出版事情に詳しいアルゼンチン人研究者とようやくコンタクトがとれ、現地ブエノスアイレス在住の日本人研究者とも信頼関係を築くことができたので、今後は彼らと協力して書籍を調達し、必要に応じてスキャナーで資料をPDF化してもらうことも行う。感染状況次第ではあるが、可能であれば9月、遅くとも2月にはブエノスアイレスに渡り、現地調査を行いたい。6月には、日本ラテンアメリカ学会で、ラテンアメリカ全体における出版活動と創作活動の関連を視野に、大西亮氏、藤井健太朗氏、浜田和範氏とともに、これまでの研究成果を報告する。年内に寺尾と大西は研究成果をまとめて論文を執筆する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、ブエノスアイレスへ渡航して現地調査を行うことができず、予定額の一部を翌年度に繰り越した。
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