研究課題/領域番号 |
20K00489
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂巻 康司 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70534436)
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研究分担者 |
大坪 裕幸 立教大学, ランゲージセンター, 教育講師 (30833983)
井上 由里子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (70601037)
水野 雅司 学習院大学, 付置研究所, 教授 (80286244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 現代演劇 / 観客 / 身体 |
研究実績の概要 |
本研究は4名の研究者による共同作業を通して、近現代演劇における<祝祭>概念がいかに変貌して行くことになったのかを探求することを目的としている。5年間に亘って続く共同研究の初年度である2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大という予想外の事態が生じたため、対面による研究会を実施することが残念ながら不可能となり、すべての研究会をオンラインによって開催することとなった。 まず、2020年9月に第一回研究会を開催し、代表者である坂巻康司が共同研究全体の趣旨説明を行い、今後の研究計画について全員で話し合った。 続いて、同年11月に第二回研究会を開催し、分担者である大坪裕幸が「観客の場所―マイケル・フリードの論から出発して」と題する研究発表を行った。この発表は美術批評家マイケル・フリードの議論を参照しつつ、アルトーにおける観客の在り方を問題にしており、本共同研究とも重大な関わりを持つ内容であった。発表後、「観客とは何か」「俳優とは何か」「アルトーの現代的意義は何か」など、様々な議論が交わされた。 さらに、2021年3月に第三回研究会を開催し、分担者である井上由里子が「ノヴァリナによる祝祭―『セーヌ』(2003)と『激昂空間』(1991)」と題する研究発表を行った。ヴァレール・ノヴァリナの思想・作品における「祝祭性」の意味を論じるこの発表は、本共同研究にとって一つの指針になるような内容のものであり、活発な議論が交わされた。 加えて、坂巻は東北大学大学院国際文化研究科ヨーロッパ研究会が刊行する雑誌『ヨーロッパ研究』第15号に、夭折したフランスの劇作家ベルナール=マリ―・コルテスの作品を考察する論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という未曽有の事態が生じたため、当初予定していた幾つかの研究計画を大幅に変更せざるを得なくなった。致し方のないこととは言え、研究計画が遅滞している状況をいかに回復して行くかが今後の課題の一つとなるであろう。
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今後の研究の推進方策 |
2021年4月現在、いまだ新型コロナウイルスの感染拡大が国内・国外において収まりを見せないという厳しい状況が続いているため、2021年度も引き続きオンライン研究会を続けて行かなければならないと思われる。 これからの数年間は、この共同研究の「基礎体力作り」をしようと考えている。もしも可能ならば、近現代フランス演劇に関連する幾つかの分野を専門とする研究者をゲスト・スピーカーとして研究会にお招きし、<祝祭>という形態のさまざまな在り方を学びながら、共同研究を推進して行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ禍による混乱が生じたため、研究活動を整えるための備品を購入することが時間の都合上できなかった。2021年度以降は、この共同研究の研究活動に必要な設備を徐々に整えて行く予定である。
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