研究課題/領域番号 |
20K00489
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂巻 康司 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70534436)
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研究分担者 |
大坪 裕幸 立教大学, 外国語教育研究センター, 特定課題研究員 (30833983)
井上 由里子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (70601037)
水野 雅司 学習院大学, 付置研究所, 教授 (80286244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 祝祭 |
研究実績の概要 |
本研究は4名の研究者による共同作業を通して、近現代フランス演劇における<祝祭>概念がいかに変貌して行くことになったのかを探求することを目的としている。今年度は「そもそも<祝祭>とはいかなるものなのか?」という根源的な問いに立ち戻り、隣接分野からゲスト研究者を招いて、<祝祭>概念に対する理解を深めることを目指した。 そのような観点から、2022年度は年間テーマを「《都市と祝祭》の起源を探る」と定め、二つの例会を開催した。そこでは、フランスのヴェルサイユ、及びイタリアの諸都市のケースに焦点を当て、このようなテーマに通暁される二名の西洋美術研究者にご参加いただくことで、都市と祝祭がいかなる関係を持ち続けて来たのかについて探ろうと試みた。 まず、2022年12月10日に実施した第5回例会では、学習院大学講師の太田みき氏に「17-18世紀フランス宮廷における祝祭――娯楽と儀礼のあいだで――」と題するご講演をしていただいた。続く2023年3月31日に実施した第6回例会では、学習院大学文学部教授の京谷啓徳氏に「祝祭・スペクタクル・記録:ローマとヴェネツィアの事例を中心に」と題するご講演をしていただいた。前者では17-18世紀のフランスの都市を扱い、後者ではルネサンス期のイタリアの都市に照準を絞るという形で、西洋を代表する諸都市の歴史において<祝祭>的なものがいかなる理由から顕現し、各々の役割を果たして来たのかについて、美術研究者の立場から豊富な資料を基に解説していただいた。 以上の二つの講演により、本研究が解明を目指している近現代フランス演劇における<祝祭>概念が、それよりもはるか以前の時代から複雑な意味作用を持っていたことが改めて浮き彫りにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の研究開始以来、本研究ではコロナ禍の為に例会をオンラインで実施することを強いられてきたが、2022年度は初めて対面による例会開催が実現し、ようやく研究者同士の考えを深く共有することが可能となった。 そのような中、2022年度は外部から招いたゲスト講師による興味深い講演が行われたことにより、研究テーマについての理解が一層深まったと言える。コロナ禍によって生じた2020~2021年度の研究活動の遅れを何とか取り戻し、共同研究がようやく軌道に乗り始めたという印象である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も2022年度に引き続き、外部からゲスト講師を招いて、ドイツ、そして、フランスにおけるオペラ上演における<祝祭>概念について探っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は予定していた物品を購入することがなかったために使用額が少なかったが、2023年度は前年度の使用額と合わせて、有益な研究活動のために的確に助成金を使用していく予定である。
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