研究課題/領域番号 |
20K00491
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 潤 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50613098)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 英雄叙事詩 / 受容史 / ドイツ文学 |
研究実績の概要 |
令和5年度には、これまで取り組んできた研究の成果が複数点、書籍に収録される形で公表された。まず19世紀後半から20世紀半ばにかけての英雄詩素材の受容に関する研究の成果をまとめた2本の論考(「「ドイツ」国民叙事詩?─オーストリア文学史叙述における『ニーベルンゲンの歌』」および「敷居に立つニーベルンゲン─マックス・メルによる二部作『ニーベルンク族の災厄』」)が、令和5年5月に刊行された書籍『モルブス・アウストリアクス』に収録された。また、令和3年度に行った中世盛期から後期にかけての英雄詩素材の受容の様相に関する口頭発表を論文化した「ドイツ語圏英雄伝承の教化素材化―ニーベルンゲン伝説およびディートリヒ伝説を題材に」が、令和6年3月に刊行された書籍『修道制と中世書物』に収録された。さらに、令和5年3月に一部を口頭発表した、フリッツ・ラングによる映画『ニーベルンゲン』に関する研究を「フリッツ・ラング『ニーベルンゲン』―中世英雄叙事詩の戦間期におけるアダプテーション」として論文化した。本論文は令和6年度内に刊行予定の書籍への収録が決定している。 加えて、令和2年度に口頭発表を論文化した、文芸作品における感情表現を軸に、英雄叙事詩の中世盛期におけるアクチュアリティに関する考察を含む論考「「怒りzorn」と「敵意haz」―中世叙事文学に見る感情の表象するもの」が、令和5年12月に刊行された西洋中世学会機関誌「西洋中世研究」第15号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は、これまでの研究成果の論文化とその公表という観点からは大きな成果があった一年であったが、各論考の論文化や書籍への収録に際しての改稿に集中したため、新たな知見や研究対象の拡大を行うことが困難であった。それに加え、複数の要因により当初予定していた渡独と現地での研究活動を断念せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初令和5年度までの予定であった本研究は、予期していなかった要因により同年度内での気切りを付けることが困難となり、また予定していたドイツ・オーストリアへの渡航も実現できなかったため、研究期間の延長を申請、受理されている。令和6年度には、ドイツ・オーストリアでの資料調査に加え、これまでの研究成果の通時的な視点からの整理と、20世紀後半以降の英雄詩素材の再作品化に関する研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度および3年度は、新型コロナ感染症の拡大とウクライナ情勢の影響で渡欧しての研究活動が不可能であった。令和4年度に一度渡独して資料調査を行ったものの、令和5年度は様々な事情により予定していた再びの渡欧しての研究活動を断念せざるを得なかった。そのため、渡欧のための旅費として想定していた予算が繰り越しとなっており、令和6年度に使用予定である。
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