研究実績の概要 |
最終年度は、フランスのオルレアン(CERCIL)、グルノーブル(ユダヤ人検挙記念館)、パリ(レジスタンス記念館)で資料調査を行い、グルノーブル大学の研究者との面談を実施した。また、ルーマニアでは文献調査(ヤシ大学図書館)、研究者やユダヤ人コミュニティ代表との面談(ティミショアラ、ヤシ)を実施した。フランス語論文2本(Alkemie, No. 31 ; "Fernando Pessoa & Emil Cioran : Pensadores das Margens da Razao e da Civilizacao" [Edicoes Colibri])を発表し、日本語論文1本(『日本フランス語フランス文学会中部支部論集』第47号)を発表した。新設された金沢大学人間社会研究域附属グローバル文化・研究センター主催のシンポジウムで2件の研究発表、ルーマニアのアラド大学で1件の講演を実施した。ミシェル・ジャルティ『評伝ポール・ヴァレリー』の書評(『図書新聞』3622号)を発表した。クロエ・コルマンの小説『姉妹のように』(早川書房)を翻訳刊行し、訳者解説を掲載した。 研究期間全体を通じて、フォンダーヌとガリを対照研究する方法によって、ユダヤ的かつ20世紀的な亡命者の条件と神話的表象の関係を解明することができた。また、二人の作家と同時代の文学動向に目配せすることで、より広い文脈で研究を展開することが可能となった。本研究に関わる単著学術論文は7本(査読5本、うちフランス語4本)、学会・シンポジウム発表・講演は7件、エッセイは2件、翻訳は1件、書評は2件となる。これらを総合すると、研究成果の社会還元を果たしたと言える。
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