研究課題
基盤研究(C)
本研究では、本の刊行数に基づいて、ナチス時代のベストセラーの上位100タイトルを選定した上で12のジャンルに分類し、各ジャンルの概要と代表作品を考察した。その結果、100タイトルの4分の3を実用的著作やユーモア文学、娯楽文学といった非イデオロギー的な作品が占めると同時に、反体制的な作家の作品や敵対的な国々の作家の翻訳なども含まれることから、当時のドイツに自由で多様な文学受容の空間があったことを明らかにした。
ドイツ文学
本研究は、ベストセラーという新しい観点を交えて研究することによって、ナチス時代の文学を代表する著作が非イデオロギー的な作品であり、当時のドイツに自由で多様な文学受容の余地があったことを明らかにし、ナチズムと文学のかかわりに関する研究に、これまでの常識にとらわれない新たな局面を切り開いた。これらの成果は、関連する幅広い分野の研究に応用が可能であると同時に、ナチズムという社会的関心の高い問題の論究に資するものである。