研究課題/領域番号 |
20K00510
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
大鐘 敦子 関東学院大学, 法学部, 教授 (50350541)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フローベール / 草稿研究 / ファム・ファタル / 聖アントワーヌの誘惑 / 十一月 / ファタリテ / 宿命感 |
研究実績の概要 |
初年度に引き続き、本年度も、パンデミックのため、例年実施してきた海外での草稿調査を実施できず、国内でできる基本作業を続行し、中間期の背景にあるフローベール の東方旅行やオリエントに関する理念をより深く理解するよう努めた。 研究実績としては、昨年に引き続いて現地での開催がオンラインに急遽変更になったものの、重要ないくつかの国際会議に招聘され、発表することができた。ルーアン大学フローベール 研究所およびノルマンディー美術館連盟共催のフローベール 生誕二百周年記念の国際会議「サラムボー、古代と現代」(6月28日から30日)は盛大な美術展と同時開催され、開幕の発表者として、2016年の研究成果公開促進費で上梓した「サラムボーのプランとシナリオ」を紹介し、フランス国立科学研究所元フローベール 研究所ジャック・ネーフ元所長(ジョンズ・ホプキンス大学教授)と共同発表し意見交換をした。また所長イヴァン・ルクレール前所長からは校訂版のオリジナリティある点を指摘いただいた。 十二月にはチュニジアのスファックス大学での国際会議「フローベール とアラブ世界」(12/2-12/4)に招聘され、第6波のため急遽オンラインで発表し、パリのFrancopolisに掲載された会議報告で評価された。 二月には、初期作品とのちの傑作の中間の時期にフローベール が取り組んでいた『聖アントワーヌの誘惑』第二版(1856)版の草稿転記によるディプロマティック草稿解読校訂批評版に、多くの分析を加筆し、ジュネーヴのDroz社から研究成果公開促進費で出版することができた。これは現在肉眼で判読可能な限りの解読に挑戦したものである。下書き草稿は400頁近くあり、分類も解読も未だ世界でなされていないため、全ては反映できないが、第一版のダイジェストにすぎないといわれていた第二版の存在の重要性を初めて紹介することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため、現地へ出張して、関係資料が保存されているフランス国立図書館およびジュネーヴの博物館などでの草稿閲覧ができていないこと、フランス国立図書館で資料を閲覧できないことが主な要因である。一方、国内でできる作業は進めている。
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今後の研究の推進方策 |
パンデミックが終息すれば、海外の図書館での文献および草稿調査も可能になるので、遅れた出張分を取り戻すべく調査を再開したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックのため、例年実施しているフランス国立図書館での調査出張が不可だったため。
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