研究課題/領域番号 |
20K00522
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
成實 朋子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40346226)
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研究分担者 |
大竹 聖美 東京純心大学, 現代文化学部, 教授 (60386795)
浅野 法子 大阪成蹊短期大学, グローバルコミュニケーション学科, 准教授 (60759306)
西山 利佳 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 准教授 (70785526)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 児童文学 / 東アジア / 小学校 / 国語教科書 / 中国 / 台湾 / 韓国 / 日本 |
研究実績の概要 |
本研究においては、日本・中国・韓国・台湾という4つの東アジア地域で発行されている国語教科書に掲載されている児童文学作品を検証し、その差異と共通点を明らかにしている。2021年度においては、2020年度に行った資料収集と分析結果を踏まえ、国内外の学会において研究成果を公表することに努め、研究に対する国内外の関係者からの意見を収集し、研究成果に反映することを目指した。 研究成果の公表の場としては、まず一つには、2021年8月21日~22日に実施された「第15回アジア児童文学大会」を選んだ。アジア児童文学大会は前述の四つの東アジア地域の児童文学関係者が集まる研究大会である。今回の主催は韓国・大邱市によるものであり、コロナの影響によりオンラインでの開催となったが、東アジア各地域の児童文学研究者が集まり研究発表を行った。ここでは研究メンバーがそれぞれに発表を行ったが、当該研究テーマに直接関係するものとしては、8月22日に発表した成實朋子「東アジアの国語教育と児童文学―東アジア児童文学史構築に向けて」がある。この発表においては、2020年度に行った研究の成果を踏まえ、四つの地域の国語教科書に掲載されている児童文学の概要について発表し、意見を求めた。 国内での研究成果の発表の場としては、2021年11月20日~21日に実施された日本児童文学学会第60回研究大会(於大阪府立図書館)を選んだ。同大会・ラウンドテーブルにおいて「東アジアの小学校国語教科書における翻訳児童文学―日中韓台の比較から―」と題して、成實朋子・大竹聖美・浅野法子・西山利佳が発表、佐藤宗子が司会を行った。 国内外での発表を通じ、当該研究の意義を国内外の関係者に周知することが出来たのみならず、それぞれの地域での教科書出版や児童書出版に最新の情報を入手することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の推進にあたっては、やはりコロナの影響が大きくあると言わざるを得ない。研究対象となっている中国や台湾、韓国といった海外諸地域への渡航が難しく、現地に渡っての調査等が実行できていないこと、またそれに伴い、資料収集に困難が生じていることは、本研究の推進を大きく阻む要因となっている。 しかしながらそのような中でも、本研究のメンバーは、個人的ネットワーク等を駆使し、それぞれに研究を行うために必要な資料の収集につとめ、研究活動を行い、研究成果の発表に結び付けることが出来た。 そのような研究発表を行うことが出来た要因としては、アジア児童文学大会や日本児童文学学会等といった国際大会や学会がオンラインであっても実施されたということが大きい。またコロナ禍も二年目ということもあり、オンラインツールを使っての海外との交流に慣れたこともまた海外居住の研究者へのインタビューへとつながり、研究の推進に有益に働いた。 このように、もともと研究計画にあった成果発表が予定通り行えたことは、本研究が順調に進展しているということの何よりの証左である。
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今後の研究の推進方策 |
本来の研究計画としては、2022年度に日本で開催予定であった第16回アジア児童文学大会において当該テーマを題目とするシンポジウムを開催し、そこで成果の発表を行う予定であったが、第15回大会実施がコロナの影響でずれ込んだこと、また日本国内においてまだ海外の参加者を招いての国際大会の実施の目途がたたないことから、アジア児童文学大会での実施は難しい現状である。しかしながら、資料収集とは研究は継続し、本年度においては、秋の日本児童文学学会において、教科書における古典教材に関する研究発表を目指す。そしてその上で、最終的にはこれまでの研究成果を冊子としてまとめ、公刊することを視野に入れていくことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来参加予定であったアジア児童文学大会は2020年韓国で開催予定であり、メンバー全員がこれに海外渡航の上参加予定であったのだが、2020年予定のものがそもそも2021年に延期となり、更にオンラインでの開催となったため、参加のための海外渡航費用が不要となった。代わりに国内からの参加に伴う諸経費は必要となったが、それは海外渡航するための費用と比べれば軽微である。また当初より予定されていた海外での調査を目的とする渡航も行えていない。このように、主にはコロナにより海外に渡航することが出来ないということで、そもそもの計画と実施の実態が大きく乖離し、予算額との差が生じた。加えて、本来であれば、2022年度には、日本で開催予定であったアジア児童文学大会においてシンポジウムを開催する予定であったが、それも延期を余儀なくされており、予定しているシンポジウム等の実施が見込めない。そこで、本来の計画を変更し、研究内容を公刊することによって、研究成果を世に公表する予定である。
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