(1)コロナ禍で延期になっていた国外調査(2022年8月)を実施した。(ニューヨークの第一禅堂(The First Zen Institute)での資料調査、コロンビア大学の図書館の貴重文献の資料室での調査、ニューヨーク公共図書館での調査。また、ニューヨークにある2つの禅センターを訪問して活動状況を調査した。佐々木指月の刊行雑誌「Cat’sYawn」や、アメリカでどのような経典の翻訳をおこなっていたか、死後は弟子たちからどのように評価されていたのかについて調査した。佐々木指月のニューヨーク滞在時期の交友関係や文化状況について調査した。国外における新聞雑誌の執筆状況は、オンラインで公開されているものに限界があり、いくつかの所在イメージをつかむに留まった。日本語の資料については、コロナ禍からの国内調査を拡大し、さらに新資料をいくつか見つけることができた。 (2)予定していた国際比較文学会( ICLA/ジョージア)への発表参加は、コロナ禍や国際的戦時状況が不安定な面もあるため、アメリカでの調査のみを優先して、現地での参加をせずオンライン参加した。日本国内での、講演・学会発表は、最終年度に3回行った。そのうち最後に行ったのは、文学と宗教の研究会〈アメリカにおける越境者の文学―仏教との関わりから考える〉と題した公開シンポジウムで、「佐々木指月の宗教と文学の距離ー禅、詩、ナンセンス随筆」と題して発表をおこない、国内外の研究者が集った。 (3)研究成果としては、論文論文を2本(そのうち1本は共著)、学会発表報告文書を1本を発表した。出版等出版物としては、編著書のなかの分担執筆論文として2本が刊行された。 コロナ禍のために、国外調査はかなり制限されたが、その分、国内やオンラインでできる資料調査やオンライン発表や報告を説教的におこない、可能なかぎりの本研究の基盤作りをおこなうことができた。
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