研究課題/領域番号 |
20K00528
|
研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
生駒 夏美 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (60365525)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ポストヒューマン / 学際性 / 人形 / レベッカ・ウェスト / アンジェラ・カーター / 三島由紀夫 / 他者 / マーガレット・アトウッド |
研究実績の概要 |
2022年度は研究の発展と転回の一年となった。当初の計画では単著を執筆する計画であったが、若手研究者や他分野の研究者の協力を得て、共著にて日本におけるポストヒューマンと人形の表象についての書籍を海外出版社から出版するべく、立案を進めた。他方、学内で国際関係学、心理学、物理学を専門とする研究者の協力を得て、共著に向けての勉強会活動を開始した。こちらはポストヒューマン概念への学際的なアプローチをテーマとした書籍として、執筆を開始する。 2022年度は6本の論文(うち一本は共著)を執筆し、招待による基調講演を一件行なった。(1)ポストヒューマンの概念が進展した契機として重要な戦争をめぐる言説に注目し、イギリス人作家のレベッカ・ウェストの戦争論を分析し、共著の一章として出版(2)アンジェラ・カーターのおとぎ話に見られるポストヒューマンに注目し、他者とのコミュニケーションの困難を乗り越える様子を分析した。この論文は2023年夏に学術誌から出版(3)アンジェラ・カーターの日本で書かれた作品中で、花と怪物が重要なモチーフとなり、それが「花」という漢字からのインスピレーションであることを分析した。この論文はRoutledgeから論集の一章として出版(時期未定)。(4)アンジェラ・カーターの日本で書かれた短編の中で、天皇の人間宣言と、三島事件がモチーフとなっていることを分析した。この論文はBloomsburyから論集の一章として出版(時期未定)。(5) 学術誌アンジェラ・カーター特別号のイントロダクションを共著で執筆(オンラインで出版済み)。(6) マーガレット・アトウッドのディストピア小説における身体性について論じた。この論文は論集の一章として出版予定(時期未定)。基調講演はスイスのローザンヌ大学からの招待で、Zoomでの講演を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた海外での文献調査や学会発表はできなかったが、海外学会にてZoomで基調講演を行い、また5本の単著論文、1本の共著論文を執筆するなど精力的に研究を進展させることができた。 また書籍の出版計画についても当初の計画からは少し変える形となるが、二つの書籍として計画を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は2本の著書(共著の代表編集)の計画を進めていくとともに、海外での文献調査を行う予定である。著書に関しては、文理を超えた学際的なアプローチの一冊は国内出版社から、もう一つのポストヒューマンと日本に特に焦点を絞ったものについては海外の出版社からの出版を目指し、2023年度は出版に向けてのプロポーザルとサンプル章の執筆を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外での文献調査ができなかったため。 2023年度には文献調査を行うのと、出版に向けて論文の英訳、英文校正の謝金として使用する。
|