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2020 年度 実施状況報告書

最小探査とラベル付けに基づく文法格の比較統語論研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00535
研究機関山形大学

研究代表者

高橋 真彦  山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (30709209)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード格 / 移動 / かき混ぜ / 一致 / 反局所生
研究実績の概要

今年度は日本語の目的語の作用域を分析し、その理論的帰結を検討した。特に、過去の文献で独立して指摘されている以下の3つの観察に対する統一的な分析を試みた:(1)対格目的語が単純他動詞文では否定辞よりも広い作用域を取りうる (Kato 1985)、(2)対格目的語が可能述語文では否定辞よりも狭い作用域しか取ることができない (Koizumi 1994)、(3)主格目的語は否定辞よりも広い作用域を取りうる(Koizumi 1994)。これらの観察に対する分析の中心となるのはフェイズ単位の転送 (Saito 2017) と反局所性 (Abels 2003) である。より具体的には、上記の3つの観察に統一的な分析を与えるために、以下の2つの仮定が必要であると主張した:(A)(日本語では) CP フェイズが完成したのちにvP フェイズ が転送される、(B)スクランブリングや名詞句移動は反局所性に従う。この分析は、線形語順に反映されない目的後の移動の存在を含意する。これは、主格目的語と対格目的語の作用域が共に主語の格と相関するという観察によって支持される。主語が主格を受ける場合は、後続する主格目的語と単純他動詞の目的語はどちらも否定辞よりも広い作用域を取るが、主語が道具格を受ける場合は、どちらの種類の目的語も否定辞よりも狭い作用域しか取ることができない。これらの事実は、主格主語は基底生成された位置から移動するものの、道具格主語は基底生成された位置から移動しない (Kishimoto 2010) という仮定のもと、どちらの目的語も線形語順には反映されない形で移動する本分析から導くことができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍対応のため、想定していなかった業務が多く生じたため。

今後の研究の推進方策

研究成果を学会や研究会で報告し、評価を受ける。その上で、雑誌論文として投稿する。

次年度使用額が生じた理由

予定された出張がコロナ禍の影響で行われなかったため、次年度使用額が生じた。令和3年度は、(もし学会や研究会が開催されれば)出張を行い、論文の英文構成などを行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 主格/対格目的語の作用域について2021

    • 著者名/発表者名
      髙橋真彦
    • 学会等名
      Comparative Syntax and Language Acquisition (CSLA) #11 2020年度統語論ワークショップ

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公開日: 2021-12-27  

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