研究課題/領域番号 |
20K00551
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
吉田 さち 跡見学園女子大学, 文学部, 准教授 (10587786)
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研究分担者 |
松本 和子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80350239)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 社会言語学 / 方言接触 / 言語接触 / 在日コリアン / 在樺コリアン |
研究実績の概要 |
本研究は、日本およびサハリンに在住するコリアンディアスポラを対象に、言語接触・方言接触がもたらす状況下で生じるコード・スイッチング、借用語、コイネーという言語現象とその諸要因について解明するとともに、理論構築に貢献することを目的としたものである。 初年度の計画としては、国内外で文献調査を行いつつ、在日コリアン(20名)・在樺コリアン(20名)の面接調査・質問紙調査・自然談話の収集を実施することを予定していた。 しかし、新型コロナウィルス感染症の拡大により、日本・サハリンの両地域でフィールドワークを行うことができなくなった。そのため、一部予定を変更し、当初の予定であった文献調査と並行して、昨年度までに収集した在日コリアン・在樺コリアンのデータの書き起こし・集計・分析に注力することとした。特に借用語およびコイネー化に焦点を当てた分析を行い、その結果について国内外の学会・研究会(①日本言語地理学会、②The 6th meeting of the New Ways of Analyzing Variation、③AA研共同利用・共同研究課題「移民の継承語とエスニックアイデンティティに関する社会言語学的研究」2021年度第1回研究会)で3件の口頭発表を行った。 今年度の主要な成果をまとめると、文献調査、データの書き起こし・集計・分析を進めつつ、特に、在樺コリアンの借用語・コイネー化に関する研究結果について国内外の学会等で発表した点である。 来年度以降は、社会情勢が改善されてフィールドワークが可能となり次第、日本およびサハリンにおいて、面接調査・質問紙調査・自然談話の収集を開始する。それと同時に、収集したデータの書き起こし・集計・分析を進めながら、順次、国内外での学会発表や論文発表等、対外的な成果の公表を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗状況について、「やや遅れている」と判断した。その理由は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、初年度に予定していた日本およびサハリンでのフィールドワークを実施することができなくなったためである。 ただし初年度には、昨年度までに日本およびサハリンで収集したデータの書き起こし・集計・分析を進めることに集中したため、データの書き起こし・集計・分析について一定の成果を得ることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降、引き続き、既存のデータの書き起こし・集計・分析を進めていく。今年度は在樺コリアンのデータ分析が中心であったが、来年度以降は在日コリアンのデータ分析も推進していく。研究の推進のため、書き起こし・集計・分析に際して韓国語母語話者等の協力スタッフの拡充を図る。 新型コロナウィルス感染症が収束し、フィールドワークが可能になり次第、サハリンおよび日本にてフィールドワークを再開する。再開までコミュニティ内部の方々との信頼関係の構築・維持に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の拡大により、(1)サハリンおよび日本におけるフィールドワーク実施のための旅費等が支出できなかったこと、(2)国内外の学会が全てオンライン開催になったために旅費等が支出できなかったこと、の2点が主な理由である。 次年度は、新型コロナウィルスが収束しフィールドワークが可能となった段階で、サハリンおよび日本でのフィールドワークのための旅費に使用する。また、継続してデータの書き起こし・集計・分析を行うため、機材の購入、人件費・謝金、その他(業者委託費)等にも使用する計画である。
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