今後の研究の推進方策 |
令和3年度は秋学期に研究休暇を取れるため、これまでより集中して研究に取り組めるものと期待している。 これまでの研究(Aoyagi 2019, 2021)で韓国語でなぜ7つの使役形態素{i, hi, li, ki, wu, kwu, chwu}のうち母音が/i/の前4者のみが受動形態素としても使われるのかという問題に対し、使役素が潜在的に現れうる3箇所のうち、 (1)[Cause1P...[VoiceP EA [Cause2P...[vP...IA √R^v/Cause3]^Cause2]^Voice]^Cause1] それぞれの語幹述語に対する選択制限により、母音が/i/のものは(1)のCause1~3のすべての位置に現れうるのに対し、母音が/u/のものは外項(EA)を取るような述語には接続しない、すなわち、(1)のCause1の位置には現れ得ないことが分かった。さらに、使役素Cause1もVoiceも外項を導入しないことがあるという想定のもと、構造的縮約(bundling)が適用し、(1)から(2)の構造が派生すると主張した(Aoyagi 2021)。 (2)[Cause-VoiceP adjunct-dat [vP IA √R^v]^Voice-Cause] ここで内項(IA)がTの指定部に上昇したものがいわゆる受身文である。しかし、(2)で起こった構造的縮約はさらに歴史的変化の観点、ソウル標準語と他方言との比較の観点から検討する必要がある。
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