研究課題/領域番号 |
20K00555
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
青柳 宏 南山大学, 人文学部, 教授 (60212388)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 日本語 / 韓国語 / 使役 / 受動 / 補助動詞 / 文法化 / 構造的縮約 |
研究成果の概要 |
日韓語はいずれも主要部後置型の膠着言語であり、動詞に補助動詞や接辞を下接させることで様々な意味を表うるという共通点がある。しかし、日本語で使役のサセと受動のラレが分化しているのに対して韓国語ではこれらが同形であり、1つの動詞語幹に1つの接辞しか許されず、従って、日本語のように使役・受動文(例:ネコが太郎にネズミを食べさせられた)が存在しないので、韓国語は日本語ほど文法化が進んでいないようにみえる。ところが、前近代ソウル方言や慶尚道方言等をみると、1つの動詞に複数の接辞が接続した時代があったことは確実で、その後中央語で統語的な縮約が起こったために、現代韓国標準語のような姿になったと推測される。
|
自由記述の分野 |
言語学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現代韓国標準語においては、(i)受動接辞が使役接辞と同形であり、(ii)一つの語幹には一つの接辞しか付加せず、(iii)本動詞から補助動詞に文法化したものが限られている、ことから韓国語における文法化の程度は日本語より低いとみられがちである。本研究は、(i)と(ii)については、前近代韓国語や慶尚道方言等を参照すると、韓国語にも二重接辞が許された時代があったことは確実で、Voice-Cause bundlingという構造的縮約現象を経て、(i)使役から受動が派生すると同時に(ii)二重接辞が折り畳まれて単純化したという可能性を初めて示唆した。ただし、(iii)に関する全容解明は今後の課題である。
|