研究実績の概要 |
研究代表の秋廣は、現代フランス語の話し言葉研究という観点から、とりわけ、話者の社会言語学的カテゴリー、及び、文体的観点から、談話標識 apres の用法について、オルレアン大学のMarie Skrovec 准教授、Layal Keenan-Caillol 准教授と共に、オルレアン大学のコーパスに基づく研究を行い、共著で論文を執筆した。その論文は、学術雑誌 Langages からまもなく出版される予定である。また、談話標識 du coup について、2005年、2010年、2015年という3つの年代に収集した東京外国語大学の所有する話し言葉コーパスのデータに基づき、3つの年代ごとのデータの比較を行い、ミクロ通時論的観点から研究をまとめ、その成果を2020年の12月の日本フランス語学会で口頭発表し、その内容を単著で論文にまとめた。この論文は、Hava Bat-Zeev Shyldkrot 教授退官記念論文集としてフランスの出版社から出版される予定である。2つの研究から、談話標識の多義性の記述をどのようにするか、という点で、共通した問題点を見出すことができた。今後は、その記述モデルを様々な理論を参照しつつ精密化して提示できるようにする。 研究分担者の川口は、院生協力者とともに、地域フランス語における談話標識の使用について量的分析を行った。PFCコーパスのうちDouzens, Liege, Niyon, Quebec City, Roanne,Reunionの6地点におけるalors, euh, la, parce que, puis等の現れを量的に分析した。現れの傾向には地域的な偏りがみられ、個人的な傾向も見られるように思われるが、今後さらに分析を進める必要がある。
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