研究課題/領域番号 |
20K00568
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
橋本 将 金沢大学, 外国語教育系, 准教授 (70784784)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 複数性 / 複数形態素 / 名詞句 / 意味論 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、複数個の名詞(句)が連続する形の名詞句の統語構造と意味の解明を言語比較を通じて進めることである。特に、そのような名詞句への複数形態素の挿入の可否から、名詞句の統語構造と複数形態素の形式意味論的な意味の詳細を明らかにすることによって、複数形態素が導く純粋複数解釈と連想複数解釈の形式意味論的な説明を行い、自然言語の「数」のシステムの解明に繋げることを目標としている。2020年度(令和2年度)は、日本語の(代)名詞(第1要素)-名詞(第2要素)の形をした表現について、先行研究の調査を進めるとともに、第1要素に複数形態素が付加されるものと付加されないもの両方についてデータの収集を行った。収集したデータによって、(代)名詞-名詞表現の第1要素は直示的、限定的なものに限られるという先行研究の観察には反例があることを確認した。これらの反例は、稀なものではあるが、非文法的・不自然なものではないので、(代)名詞-名詞表現の適切な理論はこれらの反例を説明できなければならない。これらに加えて、第1要素に、複数形態素ではないが複数性に関連する形態素(「ほか」「など」等)が付加されるケースについても、データを収集し、先行研究の調査を進めた。これらは、英語に対応する機能的形態素がなく、日本語の研究からの貢献が期待されるものである。また、意味論的・語用論的な分析を行い、日本語と英語の(代)名詞-名詞表現の持つ意味の違いを検証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍の下で、授業準備等、研究外に費やす時間が急増したり、人(インフォーマント)に会うことが難しくなったりしたため、計画通りに研究を進めることが難しい1年であった。日本語の(代)名詞-名詞表現のデータ収集は進めることができたが、計画では年度後半に予定していた中国語と英語のインフォーマント調査については進まなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、直接対面しない方法によるインフォーマント調査を視野に入れて、状況に応じたデータ収集を行う予定である。また、インフォーマント調査に頼らなくてよい部分に積極的に力を入れて研究を進め、学会発表等を通じて国内外の研究者と意見を交わし、論文化していくつもりである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
インフォーマント調査等を翌年度に行うことにしたため使用額に変更が生じた。翌年度のそれらの費用に充当する計画である。
|