研究課題/領域番号 |
20K00571
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩谷 茂樹 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (70273737)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | モンゴル語族 / 民和土族語 / 文法記述 / 語彙 / 通時的音声変化 / 述語の主観客観形式 / 派生接尾辞 |
研究実績の概要 |
「中国のモンゴル系民和土族語における文法記述と語彙に関する総合的研究」と題する本研究は、中国の甘粛・青海省におけるモンゴル系孤立的諸言語、通称「河湟語」の一つに位置付けられる土族語のうち、記述研究が従来不十分で、その実態があまり知られていない民和方言(話者人口推定1万人)、別名「民和土族語」を取り上げ、共時的見地から、当該言語の詳細な文法記述と語彙調査を徹底的に行うことにより、民和土族語が一体どのような言語なのか、その全体像を明らかにするとともに、通時的見地からは、モンゴル祖語から受け継がれた共通特徴と当該言語で独自に発展させた改新特徴を弁別することにより、最終的に は、モンゴル系言語全体(=モンゴル語族)の中での民和土族語の位置付けを目指すものである。 2022年度は、研究従事者は、去る2021年12月28日にモンゴル科学アカデミー言語文学研究所創立100周年記念国際会議にオンラインで参加し「民和土族語の通時的子音変化について」というタイトルで研究発表を行ったが、それを書籍『モンゴル語文研究の発展と傾向』(2023年)pp.146-157 に論文として刊行した他、さらには、本年度の研究の最大目標であった民和土族語の派生接尾辞の研究を着実に遂行し、「民和土族語の派生接尾辞の研究」というタイトルで、雑誌『外国語教育のフロンティア』(2023年)Vol.6 PP.21-38 に同じく論文として刊行できた点は、一定の評価ができるものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来なら、コーディネーターの協力の下、中国のモンゴル系「民和土族語」に関する現地での文法と語彙の聞き取り調査を集中的に行う予定であったが、感染症拡大の影響により、まる3年間、海外現地調査ができなかった。しかしながら、2022年度は、自分のできうる最大限の力を発揮し、2本の関連論文を刊行できたため、一定の研究実績を収めることができたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も、仮に「民和土族語」に関する中国現地での文法と語彙の聞き取り調査ができないような困難な状況が続くようなら、その時は、2018年8月に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)主催の言語研修におけるインフォーマント(言語情報提供者)の協力の下、継続して本研究をさらに進展させる予定である。2023年度は、とりわけ「民和土族語の語彙に関する研究」というタイトルで、当該言語の語彙収集と語彙体系の分析に重点を置く所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
この3年間、感染症の影響により、海外での現地調査が全くできなかったため、期限内での予算執行ができなかった。 そのため、次年度(2023年度)に期間延長申請し承認を得たため、引き続き本研究を行うこととなった。 2023年度は、本研究の成果の一端を、今夏開催予定の国際モンゴル学者会議(於オラーンバータル)で発表する等、主に海外渡航費(旅費)、書籍資料収集費(物品費)に有効に使用する計画である。
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