研究課題/領域番号 |
20K00580
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
李 林静 成蹊大学, 法学部, 教授 (40567418)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 危機言語 / ヘジェン語 / ドキュメンテーション / 文法記述 / ツングース諸語 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は中国黒龍江省に分布するツングース系言語であるヘジェン語を対象に、①これまでフィールド調査によって得られた資料をもとにヘジェン語の形態・統語構造を詳細に記述すること、②ヘジェン語のドキュメンテーションを行い、得られた音声・映像資料を文字化し、文法情報を付して成果を刊行することである。 2021年度の研究実績は下記の通りである。 ドキュメンテーション研究関連:2021年12月に、過去(2019年8月)に収集したヘジェン語による語りを文字化し、文法情報及び日本語、中国語訳を付し、テキストを公表した。 その他:2021年7月から2022年3月にかけて、過去にフィールド調査において収集したヘジェン語のアナログ形式の一次音声、映像資料を整理し、デジタル化を行った。具体的に、①2002年-2019年のフィールドノート計33冊を整理し、ページ数をナンバリングした上、アナログ資料をデジタル化する専門業者に委託し、JEPG形式及びPDF形式のデジタルデータに変換することができた。②2002年-2008年に収録された映像資料を整理し、miniDV90分以下19本、miniDV120分以下3本をMP4形式のデジタルデータに変換することができた。ヘジェン語のデータベースを構築する上で基盤となる作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年9月-2023年8月の長期海外研修の機会に恵まれたが、2021年度の前半は授業、校務の引継ぎ及び海外への渡航準備に追われ、2021年度の後半は海外研修先の環境への適応に時間が割かれた。2021年度には、テキスト2編を公表する予定であったが、1編しか公表することができなかったため、研究が予定より遅れている。しかし、過去に収集した資料を整理し、デジタル化する作業が進められ、今後の研究の土台作りが順調に進捗しているため、研究がやや遅れていると評価できよう。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症のため、3年間中断していたヘジェン語のフィールド調査を2022年8月に行う予定である。中国黒龍江省同江市に赴き、流暢な母語話者がわずか2、3人しか残っていない当該言語の音声・映像資料を収集するとともに、過去に収集した資料の話者確認も実施し、ドキュメンテーション、文法記述研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:2020年度、新型コロナ感染症の拡大により、中国への渡航が困難となったため、当初予定していた中国黒龍江省におけるフィールド調整を行うことができなった。その際に次年度使用額が生じたため、2021年度も引き続き、次年度使用額が生じている。 使用計画:2021年度に引き続き、専門業者に委託し、過去に収集したアナログ資料のデジタル化を進める予定である。また、8月に、黒龍江省におけるヘジェン語のフィールド調査を実施するために、研究費を執行する予定である。
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