研究課題/領域番号 |
20K00586
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
今仁 生美 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (20213233)
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研究分担者 |
田窪 行則 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 所長 (10154957) [辞退]
中島 秀之 札幌市立大学, その他部局等, 学長 (80344224)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | modarity / conditionals / possibe worlds |
研究実績の概要 |
黒雲が立ち込めるのを見て、ある人は「雨が降るかもしれない」と言い、他の人は「雨が降るに違いない」と言ったとする。同様に黒雲を見上げていた人は、この二つの言明を聞いても不思議に思わない(つまりどちらの言明も状況的には真である)場合もあると考えられる。しかし、様相論理に基づく意味論的枠組みでは、これは奇妙である。なぜなら、前者は存在量化文であり、後者は全称量化文だからである。 本研究は、こういった日本語の様相表現をデータとし、可能世界を用いない様相表現の意味論的枠組みの構築を目指す。具体的には、状況理論の理論的枠組みを援用する。本研究の目的は大きく分けて二つある。一つは、様相表現の特性を可能世界の「量化」によって捉えようとするとうまくいかない現象が存在することを分析することで、もう一つは様相表現には、情報理論で扱われる「状況への同調」があることを考察することである。今年度は、特に、可能世界の量化によって様相表現の特性を捉える試みに対し「確率」の概念を用いて様相表現を分析するアプローチについて考察を行うと共に、「ひょっとしたら/もしかしたら雨が降るかもしれない」といった文の場合「雨が降る」可能性が低い理由は、「ひょっとしたら」「もしかすると」は命題変数を表すと仮定すれば説明できること等を明らかにした。 なお、12月17日に科研ワークショップを開催し、代表者の今仁は“A dimensions-based approach to negative sentences with numerals”というタイトルで、海外研究協力者であるシカゴ大学のChris Kennedy教授は“Gradable predicates and Bayesian inference: A case study in semantic adaptation”というタイトルで発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の成果を論文の形にまとめるのに時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を論文としてまとめ発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
シカゴ大学を訪問する予定であったが訪問できなかったために科研費が残ったが、今年度は研究結果をまとめるために使用する。
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