研究課題/領域番号 |
20K00587
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
村杉 恵子 (斎藤恵子) 南山大学, 国際教養学部, 教授 (00239518)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生成文法理論 / ラベリング / 併合 / 普遍文法 / 統語構造 / かきまぜ / 相対的普遍性 / 主節不定詞 |
研究実績の概要 |
人間言語の統語構造はいつ、いかに、そしてなぜ、生後数年という短期間に獲得されるのか。生成文法理論の最新仮説であるミニマリスト理論と、顕著な言語間相違がみいだされるミメティックスの類型論という、一見結びつきにくい題材をテーマとして、普遍文法の仕組みを探るプロジェクトを2020年より開始している。 初年度にあたる2020年度は、研究の基礎作りに欠かせない海外研究者との意見交換や国際学会などのための渡航が、COVIDー19によりかなわなかった。一方で、以下の二点については、プロジェクトの趣旨に従って研究を進められた。 第一点目は、言語獲得の初期の文法に関するミニマリスト理論のもとでの基礎研究を国際ジャーナルに投稿したことがあげられる。英語を母語とする幼児と日本語を母語とする幼児の初期の文法獲得に観察される「誤用」から、その統語構造の獲得のありさまについて、ラベリングのメカニズムの相対的普遍性を提案する仮説を提案した。 第二点目は、新たなデータベース(東北大学准教授小川氏の収集したOgawaコーパス)と、そのより詳細な説明を小川氏より受け、その分析を行い、東北大にて発表することにより、研究の基礎作りを行うことができた。 上述した第一点目は、このたび開始するプロジェクトの原点にたちかえり、これまでの研究の統括をし、今後の研究の指針を明確化することにつながった。また、第二点目は、実験や新たな観察記述の困難な昨今の研究環境の中で、新たな幼児言語に関するコーパスを得ることにより、より広い記述データを整理することを始めたことを含意している。結果的に、国際ジャーナルや国内での書籍出版、国際学会でのzoom発表など、地道な活動を始めることができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
海外出張による先行研究の資料収集や学会出席などができなかった一方で、書籍発行や国際ジャーナルへの投稿、新たなコーパスの分析、国内・国際学会での招聘講演などを通して、 これまでの研究をまとめたうえで、新たな基礎研究行うことができ、結果として論文が発表されている。また書籍も発行された。
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究をさらに精緻化することによって、プロジェクトの基礎が準備された2020年度に続き、そこで得られた新たなコーパスをより一般的に整理し、先行研究と結びつけながら、検討を進めたい。2年目にあたる今年度は、その成果を研究論文としてまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、米国や台湾などにおいて学会ならびに資料交換を行うための渡航が、COVID-19により不可能となり、ZOOMなどの本務校による整備により時間の限られた会議を行った。しかし、資料や意見交換は、ZOOMのみでは十分ではないことから、渡航が可能となった場合には当初計画されていた学会活動や資料交換のために海外に赴き、研究プロジェクトに関して広く深い知見を得たい。
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