研究課題
基盤研究(C)
本研究は、中国語を取り上げ、プロソディが意味解釈に与える影響を明らかにした。音声のピッチ、持続時間、強さなどで表される文のプロソディは、焦点や話題等の情報構造を示す手段であることはよく指摘されてきた。本研究では、意味の弁別素性としてのピッチを使用する声調言語における、情報構造の示され方を、対比話題を表す副詞“可”を対象に調査し、最も普遍的な具現化は音声の持続時間の伸長にあることを明らかにすると同時に、その意味論を構築した。
言語学
本研究の学術的意義としては、プロソディと意味論がどのように関連するかを示した点にある。声調言語におけるプロソディと情報構造の関係については、焦点の概念の音声的具現化を中心に、中国大陸で研究がある。だが、対比話題を示すと思われる副詞“可”については、意味が複雑であることから、研究されたことがなかった。本研究では、この副詞の意味論を形式的に定義することで、プロソディとの関連を明らかにしたことと、中国語の円滑なコミュニケーションを促進する結果を得られたことに意義がある。