研究課題/領域番号 |
20K00610
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
波多野 博顕 筑波大学, 人文社会系, 助教 (10709364)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本語学習者音声 / 韻律比較 / 音響分析 / クラスター分析 |
研究実績の概要 |
2022年度は、学習者音声の韻律評価を行なう上で重要となる特徴について、音響的な観点から整理・検討を行なった。 日本語・中国語・韓国語・イタリア語・ロシア語の各母語話者14~23名による動詞一語からなる疑問・非疑問発話を対象に、前年度の成果であるモデリング方法を用いて発話全体のfoから少数の分析点を抽出した。それらの値を用いて階層的クラスター分析を行なうことで学習者音声の大局的な韻律特徴を類型化して捉えるとともに、日本語母語話者との比較を通して局所的な特徴を分析した。また、学習者については日本語学習年数に基づいた学習歴が、クラスター分類にどのように影響するかも検討した。 韻律クラスターの分析結果から、非疑問発話ではアクセント核が存在するものの、疑問発話ではアクセント核が消失するという学習者韻律の典型性が多くの学習者で母語に依らず明らかとなった。また、疑問発話において中国語と韓国語の母語話者では発話末母音の前半部でfoを日本語母語話者よりも低く抑える一方、イタリア語とロシア語の母語話者では次末母音を日本語母語話者より低く抑えるという特徴が示された。学習者の日本語学習歴との関連では、韻律クラスターの分類結果と学習者の日本語学習年数に有効な関連性は見られなかった。 これらの定量分析に基づいた結果から、学習者音声の韻律評価を自動で行なうには、母語によって判定モデルを調整した方が良い可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習者音声の具体的かつ定量的な韻律分析を遂行することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果に基づき、学習者音声に対してアクセント型の自動判定評価を行なう。また、本研究全体の結果を総括し、結果を論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学習者音声の収集が、別の科研で進行中のデータを使用できることとなり、その分の経費が未使用となったため。本年度では本科研独自のデータアノテーションやラベリングが生じた際に支出する予定である。
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