研究課題/領域番号 |
20K00612
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
林 徹 放送大学, 東京文京学習センター, 特任教授 (20173015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フォーリナー・トーク / 移民 / トルコ語 / ドイツ語 / 言語接触 / 言語の簡略化 |
研究実績の概要 |
【現地調査に代わるリモートでの調査の試み(前年度より継続)】 令和2年度に開始したリモートでの調査方法の検討を今年度も継続しておこなった。現地調査を行う予定だった学校のひとつにおいて、移民・難民向けの統合コース (Integrationskurs) を担当するギュロル・アクタシュ氏を研究協力者として、定期的にオンラインで打ち合わせを行い、ドイツ語のフォーリナー・トークについてドイツ語話者の内省に関するデータを収集するためのアンケートの準備を行った。また、同じ語学学校に勤務するペーター・ハイン氏からも、特にアンケートのフェイスシート(回答者の属性を尋ねる項目)の構成について多くの助言を得た。 アンケートの主要な質問項目を構成する非標準的なドイツ語の表現を準備するために、統合コース参加者による実際の「誤用」例を、個人の特定ができない形で収集し、それらを言語的特徴に従って分類した上で、できるだけ多様な非標準的特徴が含まれるように、質問項目として使う表現を作成した。また、質問項目を作成する過程で収集した、統合コース参加者の非標準的な表現に共通する特徴としての英語の影響 (Anglicism) について検討し、論文として発表した(林 2022)。
【サンプル数の少ないアンケート回答を活用する方法の検討】 ベルリンでトルコ系の移民背景(本人または両親のいずれか少なくとも1名が移民であること)を持つ生徒を対象として、本研究課題の開始以前に実施したアンケート調査のデータを再検討することにより、少ないサンプル数のアンケートからも、ある程度ばらつきの度合いを推定する方法を検討し、その結果について国際学会(第20回International Conference on Turkish Linguistics)にて口頭発表(オンライン)を行った (Hayasi 2021) 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度(令和3年度)は、当初より現地調査を断念した上で、現地の研究協力者と定期的に打ち合わせしつつ、ドイツ語フォーリナー・トークに関するアンケートの作成とその実施を完了する予定だった。しかし、アンケートの質問文をできるだけ実際にドイツ語を学習中の移民・難民の非標準的実例に基づいて作成しようとしたこと、リモートによる研究打ち合わせのためアンケートの質問項目の細部についてたびたび誤解が生じその修正に時間を要したこと、アンケート回答者が思うように集まらなかったこと、さらにウクライナからの大量の難民への対応により研究協力者が多忙となったことなどの理由により、まだアンケートは試行の段階に留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
【オンラインでのアンケートの実施】令和4年度には、令和3年度に試験的に実施したドイツ語フォーリナー・トークに関するアンケートの本調査を実施する。課題である回答者の確保については、これまでアンケートやインタビューに協力していただいた学校の関係者などに連絡をとり、協力を依頼する。回答者の確保と同時に、少ない回答者からできるだけ多くの情報を得られる方法について、引き続き検討する。
【現地調査の実施】ドイツにおいて海外からの入国にほぼ制限がなくなったことを受けて、アンケートによるデータ収集を引き続き行いつつ、今年度はベルリンにおける現地調査を試みる。その際、アンケートにより収集したデータを活用し、できるだけ効率的な現地調査(主にインタビュー)を試みる。ただし、万が一現地調査ができなくなった場合も想定し、リモートによるインタビュー調査の準備も行っておく。
【研究期間】当初、本研究課題は令和4年度までの3年間で実施することを予定していたが、すでに2年間はまったく現地調査を実施することができていない。オンライン・アンケートやリモートでのインタビューを実施するにしろ、それらの調査から得られた知見の確認のために現地調査が欠かせないと考える。このため、研究期間の1年程度の延長する可能性を考慮しつつ、研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由】令和2年度(第1年度)および令和3年度(第2年度)に、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、2年間まったく現地調査を実施することができなかったため、計画していた使用額と実際の使用額の間に大きな差が生じてしまった。さらに、当初予定していなかったオンラインによるアンケート調査に切り替えざるを得なかったため、そのための準備に時間を要し、アンケート調査に関しても、本格的な実施に至ることができなかった。
【本年度の使用計画】2年間実施できななった現地調査を状況を見ながら実施する。ただし、2年分の現地調査を今年度1年間で実施することは困難なため、適宜オンライン・アンケートを併用しつつ研究を進める。また、当初3年間を予定していた研究期間を1年間ほど延長した新たな研究計画を早急に策定し、今後の感染状況を注視しつつ、適宜使用計画を修正していく予定である。
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