ヨーロッパ諸国の移民(統合)政策において、言語要件の「常態化」と「厳格化」という共通のトレンドが存在することを確認した。また、連邦国家であるベルギーでは、政策主体が複数併存するという制度的特徴のために、言語要件の導入は近隣諸国と比較して遅れをみたが、一度ひとつの政策主体が言語要件の利用を開始すると,他の政策主体もそれに追随する(せざるを得ない)状況が発生し,国内全域で制度整備が急速に進展したことを示した。権限上の制度的制限があるために政策の個別化が進むのではなく,そうした制限があるからこそ各政策主体間で政策の近接化や共通化が実現したという一種の逆説的な流れを明らかにした。
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