研究課題/領域番号 |
20K00619
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
大矢 一志 鶴見大学, 文学部, 教授 (80386911)
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研究分担者 |
小野 智香子 北海学園大学, 工学部, 准教授 (50466728)
長崎 郁 名古屋大学, 人文学研究科, 特任講師 (70401445)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 言語ドキュメンテーション / ユカギール語 / セリクープ語 / イテリメン語 / Text-Based Database / MUMPS / MongoDB / Digital Humanities |
研究実績の概要 |
3年計画の2年目であるR3(2021)年度では,研究計画書に挙げられている(a)言語ドキュメンテーションの実践,(b)動向調査,(c)データ構造の検討,(d)デジタル環境選定,(e)デジタル環境構築,(f)データベース利用環境構築のうち,(a)(b)(c)(d)(e)の活動が計画されていた.
(a)の言語ドキュメンテーション活動は,前年度に続くコロナ禍でフィールド上での活動は実施できなかったが,フィールド外活動としてのデータ整理は精力的に進めることができた.(b)の動向調査は残念ながら国際会議への参加ができず文献調査のみとなり,関連文献や論文の出版点数の少なさも相まって十分な活動はできなかった.(c)のデータ構造の検討については重要な成果を得ることができ,事業活動開始前に想定していた本研究活動の目標以上を達成できる可能性を確認した.(d)の環境選定は,分析・検討はしたものの,選定までには至っていない.マイナー言語であるMUMPSならではの問題としてある共有可能な情報が少ないことが想定以上の障害となり,あらゆる条件をすべて自分たちで検証する必要があったことから,その検証に想定以上の時間が取られた.従って(e)の環境構築にはまだ未着手である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度はコロナ禍1年目にあたり,かつ参加者全員が大学教員であることからオンライン授業への対応などに時間が取られ,計画していたようには科研費事業研究を進められなかったが,今年度ははじめからコロナ禍での活動が想定されていたことから,フィールド調査や海外動向調査以外の活動へと事業内容を修正した結果,データ整理やデータ構造検討において予定以上の成果を出すことができた.とりわけ,データ構造の策定においては,2008年から始められた言語ドキュメンテーションの基礎研究を総括するデータ形式の策定と定式化に成功した.さらには検証用のPythonパッケージを開発,pip形式での公開まで至り,外部からの評価を受けられる環境を作ることができた.今年度に定義化できたデータ構造とその応用は,言語ドキュメンテーション活動における大きなブレイクスルーになる可能性があると評価している.本年度の成果を次年度における海外動向調査に合わせて評価が受けられるようにしたい.
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の本事業のうち1年目と2年目はコロナ禍の時期と重なり,フィールド上でのドキュメンテーション活動や,アーカイブ等社会的な研究資料保存・共有を目指す本事業において欠かせない海外動向調査は,残念ながら実施することができなかった.そこで,本計画は1年延長し,都合4年計画として計画を組み立て直す.計画の延長によりフィールド調査や海外動向調査の実現可能性を探る.延長による残り2年のうち,2022年度は,海外動向調査を実施し,同時に本年度で定式化されたデータ構造を国際会議の場で公開・評価されることで,最終形式を確定したい.またそれによるデータ環境までも確定したい.最終年となる2023年度では,計画書にある(e)デジタル環境構築を実施し,可能であれば(f)データベース利用環境構築まで実施したい.ただし,4年計画に変更したとしても(f)までの実施は難しいことから,まずは(e)までの達成を優先的に目指す.(a)のドキュメンテーション活動のうち,フィールド調査についてはコロナ禍後のウクライナ侵攻により,3年目の2022年度においても実現の厳しさは増している.事業を延長した4年目(2023年度)での実現可能性を探りたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により言語ドキュメンテーション活動の一部と,海外動向調査が実施できなかったことによる活動内容の修正によるもの.また,本事業を当初の3年から4年の活動へ変更したことによる,年度内予算配分の修正によるもの.
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