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2023 年度 実施状況報告書

オビ川下流域のウラル系少数民族の言語使用実態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K00622
研究機関神戸市外国語大学

研究代表者

松本 亮  神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (30745857)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードシベリア諸言語 / フィールド言語学 / 言語類型論 / 存在文
研究実績の概要

海外への渡航がほぼコロナウイルス感染症の発生以前になったものの、長引くロシアの戦争体制にロシアへの渡航は絶望的となった一年だった。そのような中で、学会や研究会も対面で行われるようになり、ロシアを調査地とする研究者との意見交換がよくできた点は挙げられる。およそロシアへ渡航しての対面調査は、少なくとも戦争が終結しロシアが国際社会に復帰するまでは不可能であるとの認識で一致したと言える。可能なものは、ロシアの研究者やインフォーマントをロシア国外の第3国へ呼び寄せる方法、インターネットのビデオトークやSNSを使用する方法がある。しかし私自身の場合は、ロシアの協力者の方々と連絡をとっておおらず、心理的にも以前のような関係を継続することは不可能であるため、研究方法は手持ちの資料を使うことしかない。
発表では、類型論的にシベリア、ユーラシアの諸言語における存在文の対照した。存在するか否かと表す存在文、存在することは前提としてどこにあるのかを表す所在文とするとネネツ語はこの両者を区別した動詞を用いる。シベリアでは少数派であるが、広い範囲では決して少数はないとわかる。区別基準の詳細は言語ごとに異なり、一般化はまだできていないが、今後も続けていきたい。また、ネネツ語の動詞の時間概念について論文をまとめた(forthcoming)。時制的にはニュートラルである”不定時制”と呼べる無標の活用がある一方で、過去は接辞を動詞の最後につけることで表現される。人称接辞よりも後ろにつく点で後接辞的振る舞いが特徴的で、テンスの活用と呼べるかは疑問の残る体系であることが指摘できた。今後はこれら個別テーマの分析を続けるとともに、辞書の和訳を通して簡易的なデータベース化を進めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度までのほとんど動けない時間は過ぎたため研究交流が進み、発表機会も生じたことから具体的な活動が開始できた。一方で、当初の目的は達成できないことからたの目標を設定することが確定できずにいるため遅れていることには変わりない。一年延長したので、当該研究計画に近づけられるような新たな目標を決めて進めていきたい。

今後の研究の推進方策

ロシア現地への渡航、インフォーマントとネットを通した調査が不可能なので、手持ちの資料を駆使して進めたい。ロシアで出版されているネネツ語の辞書を和訳して、さらに独自の注釈などを加えることでデータの整理を進める。時間的に進められれな、ネネツ語で書かれた民話(フォークロア)の和訳をまず整理したい。そしてネネツ語原文の形態素分析をデータ化することを目指す。残り期間は1年なので、ハンティ語まで広げられるかは不定であるが、繋げられるような資料整理を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

採択当初の計画がパンデミック、国際情勢のために実行できず、また1年の延長を行なったため

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] ウラル諸語における存在文と所在文と所有の表現2024

    • 著者名/発表者名
      松本亮
    • 学会等名
      2023年度ユーラシア言語研究コンソーシアム年次総会
  • [学会発表] ネネツ語における存在文とその類型化への試み2023

    • 著者名/発表者名
      松本亮
    • 学会等名
      日本シベリア学会
  • [図書] 北極域の研究 その現状と将来構想2024

    • 著者名/発表者名
      北極環境研究コンソーシアム長期構想編集委員会編
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      海文堂
    • ISBN
      9784303562304

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公開日: 2024-12-25  

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