本研究では,無助詞と「の」と「が」による日本語主語表示体系の歴史的展開について統語的な側面の構造面に注目しながら明らかにした。日本語主語表示形態の歴史的展開は「の」と「が」ではなく,無助詞と「が」の競り合いが目立つ点をデータ分析によって明らかにし,「星が丘」のような連体格助詞として使われることが多かった「が」が,主語表示形態(雨が降る)として無助詞を超えて勢力拡大出来たのは,無助詞より構造が小さく,文中に主語の係先の区切りを作ることが主な要因であったことも明らかにした。この解明の過程で,連体形終止の一般化および準体法の衰退に関しても,新たな展開と展望を示すことができた。
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