研究課題/領域番号 |
20K00633
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研究機関 | 尾道市立大学 |
研究代表者 |
藤本 真理子 尾道市立大学, 芸術文化学部, 准教授 (10736276)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 方言 / 日本語史 / 語彙 |
研究実績の概要 |
本研究は、兵庫県丹波篠山市の高等学校生徒らによって作成された方言教材をもとに、面談調査、市史類の記録を通して、地域に住む若年層および中高年層にとっての「方言」とは何かを明らかにするとともに、地域住民のもつ方言意識がどのように資料上に残されるのかという、方言意識と資料への記録の残りやすさとの関連性を探ろうとするものである。 本研究の目的にしたがって、[1]西日本地域に住む若年層および中高年層にとっての「方言」とは何か。[2]資料として記録に残りやすいものは何か。地域内・地域外の住民のもつ方言意識との関連性を探る。 [1]のうち、兵庫県丹波篠山市での面談調査を現在、オンラインで実施可能な人物に調査依頼中である。また2019年度までに調査していた資料に加えて、当該地域で作成された資料を入手し、作成の経緯や内容の整理を行っている。関西地区を考察の中心に据えて、進めていく手順であったが、移動が困難な状況も多くあったため、2020年度は、研究代表者自身と地理的に近い広島県尾道市内の地域資料『三訪会会報』に掲載された方言についてのシリーズを中心に、資料の性質や収録語彙の傾向などについて調査を進めた。なお、近世期の方言資料群の調査については、先行する研究から資料の傾向をある程度とらえた。また、各地域の方言書の収集、収録語の傾向把握については、2020年度は、複数の方言書から収録語を観察し、入力するにあたっての指針を用意した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査、資料収集については進行している。それについての成果発表も一部行った。しかし、対人との調整が当初予定より難航している。高齢の方を対象としているため、オンラインでの調査についても調整がつきにくい。また、実施予定であった地域公民館での講演会についても2年連続で中止となり、やりとりの中で聞き取りの場を得ることが難しい状況である。また、現地での資料収集の予定が時期的にも困難であったため、地理的に研究代表者に近い地域から調査を進めることとなり、当初予定とは研究計画の順に違いが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は研究機関近隣の調査から進めることとなったので、引き続き、2021年度は移動が現実的な範囲で、実地での調査を行う。また、当初より予定していた兵庫県丹波篠山市での調査については、篠山市史などの記録の調査からはじめ、2019年度までの研究で方向性を示していた点についての検証を行うこととする。 このように、文献資料調査と資料収集で多くの面を補うことになる。ただし、今後は実地で行うはずであった調査がかなわない場合も、通話や書面での調査、またインターネットを用いたオンラインでの聞き取り調査に切り替えて実施する方向で、現地と調整を進めていく予定である。 各地域の方言書の収集、収録語の傾向把握については、普遍性の指摘にとどまらず、地域性や特有の事情がどのように反映されているかについての考察まで進めていくことが課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、出張をともなう調査、対人での調査が次年度以降の調整をするにとどまり、実施できなかった。そのため、旅費、人件費・謝金の使用、またそれに伴う、出先での資料収集で発生する物品費が2020年度は発生していない。次年度の使用となる。ただし、次年度も旅費などが発生しない状況が考えられ、オンラインでの調査環境の整えと通話や書面を通じた調査を実施予定であり、それにともなう費用として使用する計画である。
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