研究課題/領域番号 |
20K00635
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
陳 力衛 成城大学, 経済学部, 教授 (60269470)
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研究分担者 |
木村 一 東洋大学, 文学部, 教授 (90318303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 蘭学 / ヅーフハルマ / ローマ字本 / 蘭和辞書 / ホフマン / シーボルト / フィッセル / メドハースト |
研究実績の概要 |
資料の所蔵先に出向いての実際の調査がままならない年度であったため,本課題に直結した内容の実績などを公刊する機会ともなるように進めた。 まず,『シリーズ<日本語の語彙>近代の語彙 1 ―四民平等の時代―』(朝倉書店)を単独で編集し出版した。書名の通り,8巻からなる「シリーズ<日本語の語彙>」の第5巻で,「普通文の形成」「言文一致体の成立」「訳語の創出」「近代辞書と語彙」の四部を立てて,この分野で活躍する研究者15人の論考を編集したものである。 論文として,「近代科学語彙的生成及中日間往來; 以接辞“-力”“-性”為主」(中国語による)は蘭学語彙の日中交流,とくに物理学関係の語彙を中心とした内容のものである。また,‘A Study of the Linguistic and Conceptual Development of diguo zhuyi (Imperialism) ’(英語による)は以前日本語で執筆した「帝国主義」の概念史を修正し,英語に訳したものである。また,編者の要請で「日中近代の翻訳語―西洋文明受容をめぐって―」という短い近代翻訳語の流れをまとめた内容の論文を執筆した。 並行して,これまでに調査を行ってきた資料の確認・整理にあてて,次年度に向けての態勢を整えることにつとめた。複数の資料を扱うために相互の比較対象を考慮してのことである。継続して直接,間接的に関わる領域の研究を進め,次年度以降の調査・考察に際して,本課題に資するものとなるように進めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的な資料の収集などにつとめながら,本課題の全体像の構築と具体的な問題点の洗い出しを行った。それらをもとに,現在,論文の公刊などをはじめとした準備を行っている。 一方,本課題の核となる資料調査については,コロナ禍により思うようには行えなかった。かろうじて,日本国内の資料収集を行うことができたので,資料の整理を行い,既存のデータや先行研究との考察を行うことで,全容を明らかにするための準備を行った。研究の対象の順を入れ替えるなど臨機応変な対応をはかることとした。 また,学会も研究会もリモートで行われたのであるが,発表や講演などの機会を活用し,研究成果に関連するものを公表することができた。 特に調査に関してはさまざまな制約があったため,研究費の執行が予定通りに行うことができず,次年度に繰り越しを行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度中に,状況が許せば,本課題にかかわる資料などの調査を行い,諸資料の精査を進めることとしたい。その上で,それぞれの対象資料の特徴と位置づけ,そして関連性を確認することとする。全体像を明らかにすることが可能になるとともに,具体的に対象資料の近代日本語の反映とされる部分に焦点を当てることで,対象資料の重要性を立証することができると考えている。 上記の調査が進展することで,従来解決できていない問題点を解明することができると期待している。また,調査と並行して各資料の書誌的検討も進め,論文にまとめていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により,調査出張がままならず,次年度に繰り越すこととした。
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