研究課題/領域番号 |
20K00649
|
研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
中西 太郎 跡見学園女子大学, 文学部, 准教授 (30613666)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 台湾 / あいさつ表現 / 変化モデル / 言語行動 / 対照研究 |
研究実績の概要 |
本研究では、日本と台湾の通言語的なあいさつ表現変化モデルを構築することを目的としている。そのために、まず、いまだ解明されていない台湾におけるあいさつ表現の使用実態について、地域差、場面差、世代差、社会的構造差の観点から捉え、その使用実態を記述する必要がある。その使用実態を基盤にして、台湾のあいさつ表現の変化の方向とその過程、変化に関わる要因を見極める。 台湾のあいさつは、変化モデルの構築に適した多様性を持っているが、その実態の記述は定型的なあいさつに偏っていた。研究代表者が日本語を対象に定型的なあいさつ以外も射程に入れることで確立した、変化モデルの構築にまで至るあいさつ表現(非定型の表現を含むあいさつを「あいさつ表現」と呼ぶ)の研究手法により、台湾における一貫したあいさつ表現の研究土台を構築することを企図している。 2年目は、このような目的設定の下、初年度に実施できなかった準備調査結果をもとにアンケートを作成し、年度末までに台湾北部・中部の中心都市でアンケート調査を実施する計画であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、今年度も年間を通じて現地への渡航が不可能な状況だった。そのため、文献や動画資料、オンラインでの調査をもとに、アンケート調査を企画・作成し、業務委託の形で台湾北部・中部・南部での調査を行うという調査計画の変更を行った。結果として、当初計画に劣らないペースで、一定の調査成果を得ることができた。 また、台湾ネイティブへのオンラインでの記述調査の結果を下に考察を行い、台湾の昼の場面のあいさつ表現が準定型であるという考察結果を導き出し、フィールドとしての台湾があいさつ表現の変化を捉える土壌として適していることを明らかにするに至った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で現地渡航の上で行う予定だった調査を、オンライン調査や調査の業務委託などの代替手段で補い、概ね当初計画通りの調査データを得ることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、現地アンケート調査によって得たデータの分析に注力し、学会発表や論文などを通じて、その研究成果を発信していく予定である。また、そのフィードバックとして得られた情報をもとに、再度、必要な地域、必要な場面のアンケート調査を実施することも考えられる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、台湾への渡航が不可能になったため、計上していた旅費が使用できなかった。また、調査実施時期も当初予定より遅れたため、その調査データの入力と翻訳にかかる人件費・謝金も使用できず、未使用となった。また、現地協力者に貸し出す予定だった調査関連機材なども、調査実施が不可能だったため、未使用のまま残った。 これらの未使用分は、今後、台湾への渡航が可能になれば、当初予定していた旅費、人件費・謝金、調査機器購入費にあてる。また、もし渡航が難しいと判断される場合は、日本国内で入手できる台湾語の日常会話録画資料の購入や、業務委託による現地実態調査を進めるのに有効活用するつもりである。
|