研究課題/領域番号 |
20K00658
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 芳樹 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (20322977)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 形式名詞の文法化 / 複雑形容詞の語彙化 / 直示的移動動詞句の構文化 / 右方周縁部の獲得 / CHILDES / 日本語・中国語比較統語論 / 言語変化と言語類型論 / 連濁と文法化 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、東京外国語大学AA研共同利用・共同研究課題「理論言語学と言語類型論と計量言語学の対話にもとづく言語変化・変異メカニズムの探求」に採択され、そのメンバー19名の間で複数回研究会やワークショップを開催したほか、メンバー3名との共同研究もスタートさせた。 また、東北大学研究プロジェクト・新領域創生のための挑戦研究デュオ「鳥類コミュニケーションシグナルの解析から理解する言語の生成と認知の脳内機構」(代表:安部健太郎)にも採択された。 また、論文業績としては、共編著『ことばの様相:現在と未来をつなぐ』を刊行した。また、共編著『コーパスからわかる言語変化・変異と言語理論3』を令和4年11月に刊行するべく準備を進めた。その上で、前者の中に単著の1編の論文が収録されたほか、後者の中に4編の単著または共著の論文が収録される予定である。また、日本英文学会から依頼された書評1編も刊行された。 また、口頭発表としては、The 12th Workshop on Phonological Externalization of Morphosyntactic Structure: Theory, Typology and Historyで口頭発表し、その論文がProceedings Phex 7の中に収録される予定である。また、和田裕一氏・新国佳佑氏との共同研究が、ヨーロッパ言語学会の第55回大会に採択され、8月に発表予定である。 研究業績の中で特筆すべきは、(1)杉崎鉱司氏との共同研究の成果として、言語獲得についての共著論文が出版予定であることと、(2)筆者の次女の発話を6歳2ヶ月まで記録したものを、宮田スザンヌ氏に提供し、これが、CHILDESから公開される予定であることと、(3)音韻論と統語論のインターフェイスの現象(連濁)についての研究をスタートさせたことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東京外国語大学AA研共同利用・共同研究課題「理論言語学と言語類型論と計量言語学の対話にもとづく言語変化・変異メカニズムの探求」が順調にスタートし、3年計画のうちの1年目を無事終了し、そのメンバーの大半が寄稿する論文集『コーパスからわkる言語変化・変異と言語理論3』が刊行予定である。 また、メンバーの間での個別の共同研究も複数スタートしており(杉崎鉱司氏、前田雅子氏、縄田裕之氏)、その一部は上記論文集に収録予定である。また、10年目になる「言語変化・変異研究ユニット」の活動も順調に経過している。 また、鳥のさえずりの神経科学を専門とする研究者・安部健太郎氏を同研究ユニットの講師に招聘して講演会を開催したことを契機として、上記の共同研究「挑戦研究デュオ:鳥類コミュニケーションシグナルの解析から理解する言語の生成と認知の脳内機構」(代表:安部健太郎)が昨年8月からスタートした。
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今後の研究の推進方策 |
単著の研究、杉崎氏との共同研究、および、縄田氏との共同研究については、コーパス調査と仮説演繹法による従来通りの研究を続ける。 和田氏・新国氏・前田氏との共同研究については、コーパス調査と大規模容認性調査と統計解析による実験心理学的研究を行う。 安部氏・乾氏・大久保氏との共同研究については、理論言語学の知見を代表者に提供する。 中山氏と共編での論文集については、予定通り、今年11月の刊行を目指す。
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