研究成果の概要 |
英語音の共時的・通時的分析の前提として、語末の母音が中英語期に弱化と消失を経た語彙を在来語、それ以降に借用されたものを外来語と類別し、出わたりの[i, u]と二重母音の第2構成素の[i, u]を子音の機能を担う/j, w/とみなし、長母音の後半の[:]も子音の/h/と規定した。その上で、英語の在来語を共時的・通時的に分析した結果、在来語の母音連続はすべて子音で終わる閉音節で回避され、音節の境界は画定し、強勢の位置も移動しないので、閉音節化は中英語期以降の語末の弱化母音の消失、新しい二重母音の形成、大母音推移などの通時的母音変化の原因であるという結論を導き出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
閉音節化は英語の音韻研究ではあまり注目されてこなかったが、英語の母音連続が子音によって分断され、音節が閉ざされる閉音節化は頻繁に生じるので、子音・母音という分節音以外のわたり音の [i, u] も長母音の後半部分の[:] も子音の機能を担う/j, w, h/とみなすと、従来の英語音韻論の記述、英語の通時的音変化の仕組み、中英語期以降の通時的音変化の原因も見直す必要があり、学界に与える影響は大きい。
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