研究課題/領域番号 |
20K00662
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
服部 範子 三重大学, 人文学部, 教授 (00198764)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 英語 / 音声 / 強勢 / テクスト・セティング |
研究実績の概要 |
母語話者がもつ音声知識はテクスト・セティングにおいて非常に重要な決め手であることは音韻論の先行研究で明らかになりつつある。強勢アクセントを特徴とする英語と非強勢アクセントの言語であるフランス語におけるテクスト・セティングの相違に関する先行研究(2009年)において、前者は音楽的に強いビートの位置に言語の強勢をあてることを強く要請する傾向があることが指摘されている。 本年度は、テクスト・セティングという言語学の概念が成立する以前の、ドイツ語母語話者の作曲家(リヒャルト・シュトラウス)とフランス語母語話者の文学者(ロマン・ロラン)との往復書簡(ドイツ語母語話者の作曲家がフランス語の歌詞による作曲に挑戦することになり、フランス語母語話者の文学者に助言を求めるという、1889年から1927年にかけてのやり取り)を丁寧にたどってみることによって(英語訳、Myers, Rollo ed. 1968. Richard Strauss & Romain Rolland: Correspondence, diary and essaysを使用)ドイツ語を母語とする作曲家のテクスト・セティングに関する理解は常に英語と同様の強勢アクセントの言語のテクスト・セティングの原理に基づいており、非強勢アクセントの母語話者による「音符への歌詞の割り当て」に関する提案が理解不能となるケースについて、現代の音韻理論に言及しながら具体的に論じた。 来年度以降は、英語と日本語のテクスト・セティングの比較に分析対象を拡げる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語とフランス語のテクスト・セティングに関する先行研究を参考に、ドイツ語とフランス語のケースを分析し、まとめとして論文を刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のもう一つの柱である標準化配列間変動指標を用いて、言語と音楽の接点における英語の好韻律性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により海外への学会参加が不可能となったため。 <使用計画>文献購入および成果発表に充当する予定である。
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